イー・ウーマン（ewoman）

正しい情報公開が必要です（めぐっち・50）

福岡に居住しています。インバウンド観光でこれからの春節時は大型客船が入港するなど、中国人が一気に増加します。お迎えする側としては、感染に対して警戒心は高まるのは事実です。観光地には中国人だけではなく国内外から沢山集まります。双方に嫌な思いをしないためにも正しい情報でまずは感染が拡大しないために予防に努めることが大切だと思います。

情報の不安（美百合・54）

ワールドニュースを見ると米・仏ではトップで流しています。武漢の街全体の封鎖という中国の対応で外国人記者も出られないため、市内を取材していました。インタビューに答えた武漢市民は「中国政府を信頼している。これでおさまるはず」と話していましたが、日本では市を封鎖は考えられない施策。これは違う意味での心配になりますが、情報操作がなされている場合、それが功を奏せば良いのですが、隠された情報によって最悪の結果がもたらされることが不安です。

目に見えない怖さ（le petit prince・千葉県・27）

空港で働いている為、マスク着用、アルコール消毒、手洗いうがいを徹底していますが、相手はウイルスのため、いつ感染するかわからない怖さがあります。もし、自分が同僚が感染してしまった場合、今現在、特効薬もない為、どのような症状なのか、周りはどういった対応を取ればいいのか、分からない不安があります。また、この感染はいつまで続くものなのか見通しができない為、この先が心配になります。

このままでは（ま・東京都・54）

新型肺炎についてはまだ殆ど何も分かっていない（原因・感染経路等）ことが心配です。それよりも、空港等での入国者についての健康状態のチェックがサーモグラフィー以外は自己申告のみ、というのは如何なものかと思います。

マスクが売り切れ（もはよしえ・海外・その他・38）

香港在住です。旧正月休みに入り、学校での感染の可能性が低くよかったものの、街中は旧正月で人が多くて感染拡大が心配されます。情報がまだそこまでない2週間前に香港空港ではマスクが売り切れ。そのころから感染拡大を心配している人たちが多くいたと思われます。デモで打撃を受け次はウイルス？　嫌なことばかりです。

いつかは蔓延するのでは（まおにゃん・茨城県・56）

新型インフルエンザの時のようにどんなに防いでも防ぎ切れないのではないかといった不安があり、感染力がそれほど強くないことを祈るばかりです。中国に単身赴任中の人で春節で帰って来ている人たちが周りにいますが、終息するまで中国に戻らなくてよいように国が配慮した方が良いのではと思います。

毅然とした対応が必要（コリエコリコ・東京都・57）

政府の対応を気にしています。SARS流行の時にシンガポールに居住していました。香港から早い時期にシンガポールに飛び火し、危険地域のような扱いでしたが現地ではあまりパニックにはなりませんでした。それはシンガポール政府がすぐに患者とその周囲の人々を団地一つをまるごと使って隔離し、24時間カメラで監視するという徹底した対策を取ったからです。やりすぎ、との声もありましたが初動で抑えるにはそれぐらい毅然とした対応が必要だと思います。

地理的に抑制できないおそれ（おれんじ７８・神奈川県・41）

潜伏期間が一週間ほどあるとの報道もあり、すでに感染者が世界中に散らばってしまっているのではないかと思います。ウイルスが各地でそれぞれ別の変異をして拡大することもあるのでしょうか。心配は尽きません。

治療法がいかに早く確立するか？（いとやん・東京都・39）

今のところ、まだ地域が限定的ですが、感染拡大阻止はもちろんのこと、治療法が確立していないのが心配です。春節で多くの中国人観光客が来日する可能性があり、警戒していきたいです。

高齢者や子どもへの感染が心配（みもざ・神奈川県・51）

肺を患っている母を持つ身として、ニュースが入ってきた時は、お願いだから日本に上陸しないで！と心の中で願いました。ただでさえ、冬の時期は、インフルエンザにかからないように、風邪をこじらせて肺炎を起こさないようにと、家族皆で注意した生活を送っているからです。お正月は寂しいかもしれないけれど、孫は母に会いません。子どもは風邪をひきやすく、母と隔離しなくてはならないからです。免疫の落ちた高齢者と子どもへの感染が心配です。

インフルエンザとの差は？（ちゅま・東京都・47）

毎年この時期はインフルエンザによる学級閉鎖が話題になりますが、今年はコロナウイルスです。田村議長のコメントを読んで感じたのが、インフルエンザも重症化する肺炎になって死にいたります。インフルエンザはタミフルで重症する前に抑えることができるようになったけれどコロナウイルスはまだ薬がないから危険性が高いのですか。

コロナウイルスによる新型肺炎（以下、2019nCoV肺炎）について、95％の方が気になっているとの回答、ありがとうございます。

めぐっちさん、美百合さん等からは、正しい情報公開についてのコメントがありました。海外で起きている新興感染症について、一番大切なことは、正確な情報収集です。日本国内でも、政治や経済など発信者の都合のよい情報しか提供されない場合があります。これが、海外、特に、中国では、1997年の香港でのH5N1そして2003年のSARSの経験から、ウイルス情報や患者数、死亡者数等、いくつかの情報が制限されている可能性があります。

2020年１月17日、個人的に米国およびドイツの研究機関と新興感染症について会議をした際、彼らも中国の保健局からの情報の少なさを感じておりました。しかし、彼らの話では、昨今のSNSの浸透で、個人から世界に積極的に情報発信することができるので、10年前に比べると改善はしてきている、との見解でした。

今回の2019nCoV肺炎の臨床的な経過が、2020年１月24日、Lancetという医学的に価値の高いJournalに掲載されました。
1月2日までの2019nCoV感染症と診断された41名に関して、臨床的な詳細がまとめられています。
•73％が男性、年齢の中央値は49歳
•32％が何らかの基礎疾患あり（20％糖尿病、15％高血圧、15％心血管疾患等）
•66％に海鮮市場への出入りがある
•41人全員が肺炎を呈している。うち32％が集中治療室に入室し、15％が死亡
•98％が発熱、76％が咳、55％が呼吸困難、44％が筋肉痛・倦怠感

41名の症状の経過は、以下の通りです。
発症してから、しばらくの間は症状が軽く、発症から１週間程度で症状が悪化し、入院、8日目から呼吸困難が出現し、重症例では9日目ごろから呼吸窮迫症候群を合併し、10日目ごろに集中治療室に入室する

1997年に突如ヒトに感染したトリインフルエンザH5N1ウイルスに比べると、症状の悪化への進行が少し遅い印象があります。
国内で報告された２例目の2019nCoV肺炎患者も、中国で２回、医療機関を受診していますが肺炎と診断されておりません。その後、発熱や呼吸症状が落ち着いたとして日本に入国しました。そして症状が悪化してきたため、国内の医療機関を受診し、2019nCoV肺炎と診断されているようです。

こうなると、まさんが心配されているように、入国者のチェック、水際対策は、非常に難しいものになります。発症して、呼吸器症状が急速に進行すれば、その患者が、遠方に移動する事はありませんが、発症後も軽症であれば、スーパーマーケットやテーマパーク、映画館など人ごみには外出するでしょう。さらに、おれんじ78さん、まおにゃんさんもコメントされているように、潜伏期間や、不顕性感染者（感染しても症状がない、もしくはほとんど出ない　※参考「マイコプラズマ肺炎、ご存知ですか？」）もいることから、日本国内への侵入を防ぐことや国内での蔓延を防ぐ事はほぼ不可能です。

現在、私たちが目にしている2019nCoV感染症の患者数は、確定診断され死亡したヒト、重症化したヒト、軽症なヒトの総計ですが、これは氷山の一角であり、実は、
•確定診断されていない肺炎患者
•確定診断されていない軽症患者
•感染したが無症状の患者
を入れると、現在中国国内で報告されている数倍の感染者がいると考えておいた方が良いと思います。Greececatさんからの質問として、肺炎としては高い確率なのか？ですが、今後、軽症患者や不顕性感染の割合が分かり、感染の全体像が見えてくるとヒトへの病原性が正確にわかりますが、現時点では、肺炎の合併率は高いと思います。

2019nCoVの感染様式は、飛沫感染と接触感染です。2019nCoVに感染し呼吸器症状のある方はマスクをして会話、咳、くしゃみで飛沫を拡散させないこと、感染していない方は、マスクをすることにより感染者の飛沫を浴びることを防ぎ、ウイルスが付着した手指から、無意識のうちに口や鼻を触ることによる接触感染を防ぎます。le petit princeさんの言うようにウイルスは、目には見えませんが、飛沫と接触であること、さらに流水による石けん洗浄やアルコール消毒の効果が高いことからインフルエンザウイルスやアデノウイルスと同じように予防対策を立てれば良い、ということです。

今回、武漢市の行政対応について、「遅すぎる」との批判が多い事が目立ちます。24日には、中国当局は武漢市へのヒトの流れを制限しましたが、既に、感染者は世界中に移動し、移動先で肺炎を発症しています。コリエコリコさんは、シンガポールにおけるSARSの経験をコメントしました。シンガポール政府の速やかな対応が大きな流行を防いだようですね。

ここで、皆さんと議論したいのは、今回の日本の感染対策・検疫対策についてです。

潜伏期間があり飛沫感染するウイルスの流行拡大を完全に防ぐ事は不可能なので、あらゆる手段を通じて一気に患者数を急増させないよう時間を稼がなければなりませんが、一方で制限をかけすぎると政治問題や大きな経済損失が予想されます。状況は異なりますが、最近、皆さんは、あるニュースをご覧になったと思います。リスク回避の面から予想以上に大きな制限をかけたものの、蓋を開けてみたら予想をはるかに下回る結果となった和歌山市の断水工事のニュースです。私個人では、最大公約数で対応したから良かったのではないか、と思いましたが、実際は苦情に対応することとなったと。

命は大切です。でも、同時に、これが世界規模になってくると、１つの国や県、市の対応で、大きな混乱を招く事もあります。

みなさんは、今後の日本の感染対策・検疫対策についてどう考えますか？　中国からの飛行機、船舶の渡航を例外なく条件付きにした方がいいのか、国内の検疫体制を強化して、全員に体温検査や問診票の提出を指示し、虚偽報告したヒトを罰する特措法を制定するのか、もしくは、検疫では防げないことをしっかり説明して、個々人での感染対策をお願いした方がよいのか、など、みなさんが必要と思われる対策を教えてください。

２日目も、みなさんの沢山の投稿をお待ちしております。


★田村議長の過去の円卓会議より
・インフルエンザ、今年かかりましたか？
・地域の感染症情報、気にしていますか？
・ノロウイルス感染症に備えていますか？

• 2020.01.27
• 田村大輔 自治医科大学 小児科学 准教授、医薬品医療機器総合機構 新薬審査外部専門委員