イー・ウーマン（ewoman）

日本の宗教観を説明しづらい（walk714・海外・その他・39）

海外で暮らしているため宗教の違いによる生活習慣の違いを体感することは多く、「日本の宗教は何か」との質問に対して正しく答えられているのか毎回考え込みます。仏教徒でも教会で結婚式を挙げる。自分が亡くなる前に棺桶や墓を事前購入する。子どもの宗教は特に決めない、など一生懸命伝えようとするほど、相手にとっては奇異に映るようです。

双方の理解（真打ち・栃木県・45）

身内の会社で外国人を雇用していた際、私の自宅が資材管理場所だったことで、接する機会が多かった。イスラム教徒だと知り、食べてはならない食材等を教えてもらった。日本での思い出作りも兼ね、お茶や軽食を出す事もあったためだ。そうしたことで、出した物は残さず食べてくれた。彼も日本に来る前に、こちらの文化を調べたと思う。双方で異文化を理解しようとする姿勢が、友好な関係を築くのだと思う。

多様性の知識はありますが（こはく・東京都・41）

クリスマスカードにはMerry ChristmasではなくHappy Holidays、ムスリムはハラル食品が必要だけど、礼拝は1日5回必須でもない……多様性が存在していることは知っていますが、基本的に理解しているか？と言われるとNoです。周囲に実在しないとやはりわかりません。安産祈願、お宮参り、七五三、教会ウェディング、僧侶のお葬式、という一般的にありがちな日本人の宗教観が、他の国の方には理解できないということは理解しています。

受け入れる柔軟な心（MANAMIN・東京都・35）

見聞きして何となく分かっているつもりですが、改めて、「理解しているか？」と聞かれたらNOです。正直なところ、理解するのは難しいのかな、と思っています。 理解できることが一番ですが、様々な習慣を受け入れられる柔軟な心を持っていたいと思います。

まずは知ることから（まゆまま・神奈川県・53）

娘が大学で履修したのがイスラム社会についてです。勉強内容がとても興味深いもので印象に残っています。イスラムというと過激なイメージですが、娘の話を聞くと、食生活は体にやさしい食事をとる（いわゆるハラール）とか、男女差別がないなど、とても興味深い宗教だと思いました。まずは、先入観をもたずに知る、教えてもらうところから理解が深まるのではないのかなと思います。

信心深い家の子が友達になったら（Zonnetje・海外・その他・39）

就学前の子どもがいますが、学校選びで1点気になることがあります。もし子どもが私の良く知らない宗教を信仰するお友達を連れてきたときに、（親子ともども）無意識にぶしつけなことを言ってしまわないかと考えることがあります。私自身キリスト教信者ではありませんが、基礎的な知識はあるため、キリスト教系の学校に通わせる方が無難かと思うこともあります。間違えたら直せばいいというスタンスでもいいですが、8年通うことになる学校なので気になります。

理解できなくとも尊重します！（シンゴパパ・静岡県・47）

本当は「多様な宗教の習慣」をすべて理解して動ければいいのでしょうが、自分には難しいと思います。ただ、多様な宗教の習慣を「尊重すること」は出来ると思っています。自分が信じているものが大事なように、他の人が信じているものも大事ですから。お互いにリスペクトする気持ちが大事だと思っています。

ステレオタイプ化せずに敬意を（tulip・海外・その他・42）

アメリカで世界中からの学生を対象に英語を教えています。ここで身をもって学んだのは、人は一人一人違うということです。戒律が厳しいとされるイスラム教徒でも、じっくり向き合ってみると、十人十色ということが分かります。宗教を理解したいばかりに十把一絡げにして型に押し込めようとすると、かえってコミュニケーションの妨げになります。個人を知ろうとする態度で臨むことが、結果的に相手の宗教の理解につながると思います。

（真打ち）さんが書いておられる対応の仕方は、心がけさえあれば誰でも可能なものです。気を付けた方がいいかもしれないという思いがわいたら、事前に相手に率直に聞くということです。そのように質問されて気を悪くする人はほとんどいないと思います。
 
NOと答えた方の多くも、そういう心構えはもっておられるようですので、あとはそれを具体的な場面で発揮できるようになるにはどうしたらいいかです。
 
（まゆまま）さんは、まずは知ることからという意見を出されていますが、私は昨年『ビジネスマンのための「世界の宗教」超入門』（東洋経済新報社）という本を編集しました。執筆者は全員現地調査の経験があります。それぞれの宗教で何がもっとも基本的なことかを知りたい方は、参考にしていただければと思います。
 
（シンゴパパ）さんは、「お互いにリスペクトする気持ちが大事だと思っています」という意見です。こうした気持ちの態度、心の持ち方も、知識を深めることと同時に、とても大切なことだと思います。
 
（walk714）さんは、日本で育っていても、日本の宗教のことをよく分かっていなくて、基本的なことも外国の人に説明できないということを述べておられます。
 
これは今回のテーマにとって、とても大切なポイントなのです。国外から来た人の宗教をどの理解できるかは、自分の国の宗教をどの程度理解しているかに深く関係します。たとえば神仏への祈りについてあまり考えたことのない人は、それぞれの宗教の祈りの場面への想像力がどうしても弱くなります。
 
そこで、宗教や宗教文化に関連して、日本に育ったことで、つい深く考える機会が少なくなってしまったのではと思うことについてご意見をください。体験に基づいたものでも、また思いついたものでもけっこうです。
 
こうしたことが、外国人と接するとき、宗教のどんな側面に配慮したらいいかの発想を育てることになるはずです。



★井上議長の過去の円卓会議より
・外国人とのつきあい、宗教について意識しますか？
・「信じる宗教がある」のは、良いイメージですか？
・式年遷宮の年、伊勢神宮に参拝したいですか？

• 2014.12.01
• 井上順孝 國學院大學名誉教授