イー・ウーマン（ewoman）

全員でなくてもよいかも（おれんじ７８・神奈川県・40）

持病のある方は抗ウイルスは必要と思いますが、全員でなくてもよいと思っています。子どものケースですが、発熱から検査までに48時間以上経過し、麻黄湯を処方されたことがありますが、回復速度は変わらないように感じました。むしろ経験上は検査キットで検出されるまでの初期対応が重要に感じます。最近は、インフルに限らず風邪のような発熱のときは、検査を待たず葛根湯を服用を始めるようにしています。

1日が貴重なことも（綾ooo・東京都・41）

薬剤耐性ウイルスのことを考えると、熱が1日程度早く下がるために全員へ抗ウイルス薬の処方をする必要はないと思います。一方で、以前、上の子、下の子、私と、順にインフルエンザにかかったことがあり、仕事を何日も休んでしまいました。このような時は、1日早く熱が下がるのは、貴重だと思います。

大人への投薬は必要（まうやん・東京都・47）

私は医療関係者ですが、検査は必須、薬は早く解熱することで1日でも早く職場復帰するために投与してもらえ、というスタンスです。休むための診断書も必要ですし。医療者に限らず、社会人であれば早期の職場復帰が求められると思うので1日でも早く解熱するならば投薬は必要なのではないでしょうか。ただし、子どもは必ずしも投与しなければならないとは思えません。それよりリスクが大きい気がしますが、専門家的にはどうなのでしょうか？教えていただきたいです。

保険制度と勤勉性（真打ち・栃木県・49）

陽性の場合でも、全員に対する検査や抗ウイルス薬の治療は必要ないと、私は考える。財政面や、本来の治癒力が働く前に抑えられてしまう事への懸念がある為だ。田村議長も罹患していない人の割合の高さに感心されていたが、回答者の多くが欠勤時の影響を考え、日々留意している表れのように思う。整った保険制度や、自治体によっては中学生まで医療費が無償で「すぐ受診・医療に即効性を求める」傾向が強い気がする。勤勉さ（欠勤したくない気持ち）が治癒力を鈍らせないか、非常に心配だ。

医療費抑制の観点から（kyoko004・神奈川県・41）

医療費の抑制という点で、明らかに状況から感染したと考えられる場合は、検査の必要は無いと思います。ただ、個々の病院の方針では、患者さんに対応できない恐れがあるので、そのような対応もするということを国や機関が方針として周知する必要はあると思います。投薬も同様の点から全員に必要は無いのではと思いますが、投薬せず重症化した場合に、担当医の責任を問われるのではという懸念は残ります。

必要ないのでは（やっちゃん２４・大阪府・50）

私のかかりつけ医師は、「インフルエンザに対しては予防接種も必要ないし、もし、かかっても薬は必要なく寝ていればいい。むやみに薬に頼らないで、自然治癒力があるから大丈夫」と言って、予防接種もしません。実際、家族がインフルエンザにかかった時は、高熱は辛かったようですが薬を飲まないで治りました。そんな経験から必要ないのではないか、かえって肝臓等にダメージを与えるのではないかと考えます。

検査は必要（DiamondBar・東京都・50）

私の勤務先では昨年末から年初にかけて、部署によっては半数以上の人がインフルエンザになりました。当社および関連企業ではインフルエンザにかかったら医師の許可もしくは解熱後2日間経過しないと出社できないルールがありますので、インフルエンザなのかどうかの検査は必要です。同僚はゾフルーザを飲んで40度あった熱が数時間後に下がって、つらさから解放されたと言ってました。数日で治ると言われても、高熱で朦朧としたまま過ごさなくていいのは大きいと思います。

必要な場合に絞る方が良いのでは（blueberry53・大阪府・62）

インフルエンザの検査を希望があれば全員に行い、陽性であれば全員に抗ウイルス薬の治療を行うとありましたが、それを進める際の社会的コスト、効果、薬の不足の可能性の問題などが気になります。また、使用頻度が高まることで耐性菌の発生確率が上がらないかも気になります。薬は、できる限り必要な人、場合の対策として、予防に力を注ぐとともに、感染後の接触を減らす対策を地道に進めるしかないのではと思っています。

みなさま、今回も多数の投稿、ありがとうございました。投票数も160を超えており反響の大きさに驚いております。
 
Cochrane reviewでは、季節性インフルエンザへのタミフルの有効性は限定的と結論づけ、世界保健機関は、新型インフルエンザが発生した際のタミフルの国家備蓄は、必須とまでは言えない、と発表しました。タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、ゾフルーザを用いたインフルエンザ治療は、諸外国では前向きでないことは事実です。これは、彼らが抗ウイルス薬を有効でない、と思っているのではなくて、そもそもインフルエンザ患者を的確に診断できないので治療が行われていない、ということです。
 
一方で、2009年に新型インフルエンザが発生した時、日本の死亡者数は約200名と世界で一番少なかったです。諸外国は、日本の数倍から数十倍で、米国は、約50倍以上（約１万人程度）であり、日本の医療機関へのアクセスの良さと迅速診断キット及び抗ウイルス薬治療が評価されました。もちろんそれだけではありませんが。
 
抗ウイルス薬使用により、中耳炎や肺炎、気管支炎の合併率が下がる事、そして入院率が減少することも分かっています。やっちゃん24さんは、「ワクチンも内服薬も必要ないのでは？」と仰っていますが、これは、罹患した皆さんが無事に元気に回復された場合のことで、結果論での感想かなと思います。
 
先月1月の第2週の出来事です。かかりつけの先生から、「インフルエンザは寝ていれば治る」、と言われ解熱剤のみの処方を受けていた10歳の男の子が、その後3日熱が下がらず、最終的に2次性細菌性肺炎を合併して人工呼吸器管理になり、小児集中治療部に搬送されました。この時、ご家族から言われたのは、「あの時、ウイルスの薬をもらっておけば……」でした。抗ウイルス薬を内服したら、必ず2次性細菌感染を起こさない保証はありませんが、ほとんどの方は、内服後約24時間で解熱し、元気になっていきますから、ご家族としては後悔の残る診療だったのかな、と思いました。kyoko004さんが心配することが、最後の砦である重症患者を受け持つ私たちの病院でおきています。
 
重症化する方は少ないです。一般に、糖尿病や心臓疾患など基礎疾患のある方が重症化の中心です。しかし、元気な子ども、皆さんの周りの子どもが重症化しないのか？といわれると、誰もわかりません。
元職場のCenters for Disease Control and Prevention（以下、CDC）では、もし、インフルエンザかな？と思ったら「you should stay home」としています。
このweb siteを作るとき、同じ米国出身のmedical officersから、日本は、皆保険制度で病院へのアクセスが良くうらやましい、と言われていました。CDCの本心は、「インフルエンザは家に居るべき」と思っているのではなくて、保険制度とアクセスの問題で、行きたくても行けない人のために平均点を取る方針を立てている、ということです。
 
「熱がでたら、夜中でも休日でもすぐ病院、すぐ検査」、は、極論です。一部、過熱気味にインフルエンザが報道されています。こういった内容は、決して正しくありません。冷静に、合理性をもって対応してください。
 
熱があっても、元気で水分が取れていれば、まず、自宅で経過観察。その後、時間を見計らって病院へ行き、周囲流行やワクチン接種の有無、そして、本人の臨床症状（咽頭所見等）でインフルエンザが疑われれば、補助診断としての迅速検査を行います。総合的に、インフルエンザと診断されれば、抗ウイルス薬の処方を受ける。という流れが理想的です。
 
おれんじ78さんや、blueberry53さんの、ある程度必要な人に限っての治療、という意見も学会や研究会で出ます。確かに、基礎疾患のある方を積極的に治療することに異論はありませんが、時間経過とともに、数日経って重症化する場合もあります。重症化予測ができればいいですが、今の医学レベルでは難しく、そのため、治療患者を選択的に抽出することはなかなか難しいです。
 
インフルエンザによる高い合併症出現や入院率等、そして、何より医療・社会インパクトを考えると、確実な診断があれば、抗ウイルス薬を全例に処方しても乱用にはつながりません。統計解析では、抗ウイルス薬内服でも熱は24-30時間程度しか早く下がらないといいますが、綾○○○さん、まうやんさん、DiamondBarさんの意見にある、「治療して熱が早くさがる、元気になる、楽になる」、さらに家族の早期の社会復帰、これが実際、重要なことだと思います。
 
真打さんは、財政面の問題もコメントされました。インフルエンザのように、的確に診断して治療する、ということは、正しい医療費の使い方です。風邪なのに必要のない抗生剤を乱用処方したり、肺炎でないのに念のためといって胸部CTを乱用検査するような医療と混同しないようにしてくださいね。
 
次の議論は、治療についてです。抗ウイルス薬は、同じ系統の薬が4つ｛タミフル（内服）、リレンザ（吸入）、イナビル（吸入）、ラピアクタ（点滴）｝と、新薬のゾフルーザ（内服）があります。これらの薬剤の処方をすでに受けた方は、先生とどんな相談をして薬剤を選択しましたか？　具体的な希望を出しましたか？　出した場合はその理由は何ですか？　用量や期間は守りましたか？　処方を受けたことがない方は、実際処方を受ける際、先生にどんな相談をしたいですか？　薬剤を決める決め手は何ですか？
たくさんの投稿をお待ちしております。
 
追記；
現在まで、インフルエンザ脳症の方も入院されております。脳症になってしまった方の約８0％は、ワクチンを接種していませんでした。抗ウイルス薬と脳症の関連データはありません。一方で、ワクチン接種で発症を予防できれば、そもそもインフルエンザに罹りません。そうなると、脳症になることもありません。






★田村議長の過去の円卓会議より
・インフルエンザ、早くも流行。ワクチン接種、受けますか？
・インフルエンザに備えていますか？
・はしか流行中。空気感染すること、知ってましたか？

• 2019.02.27
• 田村大輔 自治医科大学 小児科学 准教授、医薬品医療機器総合機構 新薬審査外部専門委員