働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3704 開催期間 2023年01月20日- 01月27日
みなさん、こんにちは。 山口ミルコと申します。過去には出版社で本を作っており、現在は本を書いています。今回「がんと仕事」をテーマに働く人の円卓会議の議長を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いいたします。 私が乳がんを発症したのは、ちょうど会社をやめる決意をしたタイミングでありましたので、精神的にも身体的にもボロボロでした。2009年3月に退社後、およそ一年にわたって手術、放射線、ホルモン剤、抗がん剤・・といったがん治療のフルコースを受けました。そしてがんからどのように生還したかを、2冊の本に書きました。『毛のない生活』(乳がん闘病記)と、『似合わない服』(乳がん、その後)です。 本を書いたことで、この十年のあいだには講演やラジオでしゃべったり、いろんな方のがん治療相談にのったり、関係者と交流してきました。がんになって仕事や家庭を失う方も、みてきました。 自らの体験と回復の経過は本にありますのでここでは詳しくふれませんが、思い返してみるとほんとうにいろんなことがありました。抗がん剤治療は苦しいもので、全身の毛が抜けました。 起きてマクラが髪の毛でまっくろだった朝を、私は生涯忘れることはないでしょう。 しかし、よくよく思い返してみると、精神的にきつかったのは、なかでも「検査の渦中」であったかもしれません。つまり、どうやら私はがんらしい・・・ということが、わかりつつある・・・時です。胸に針を刺したり、乳房を機械に押しつぶされたりといったことを繰り返したのちに、とうとう「がんです」と言われたときのあの衝撃。恐怖。全身が凍り付いた、瞬間―― 私の場合はすでにリンパ節に転移しており、医師が憐れみの目で私を見ていました。 会社をやめた矢先に宣告された乳がんは、会社を失い淋しさや悔しさが募っていたところへダブルパンチのように私を打ちのめし、病院の帰り道に立ち止まり、大声でわんわん泣きました。道行く人たちが私をふしぎそうに見ていました。 さらにフリーランスになった矢先でもありましたので、 「いったいこれからどうやって生きていくんだ?」 との問いが浮かびます。 保険にも入っていませんでした。 ふだん、がんになったら・・・なんて考えませんよね? そこで今回はあえて、「がんが見つかったときの心構え、できていますか?(まず何を整理するか、できていますか?)――Yes or No」とのお題でみなさんと考えてみたいと思っております。 (がん経験者の方は、その時点でご自分が心構えできていたかどうかをYes/Noでお答えください) 私の場合は完全にNOで、失職し、かなり生き方を変更することになったのですが、それでも最近の調査資料によりますと、がん経験者の6割の方がこれまでどおり働いておられるそうです。がん患者をとりまく状況は、よくなってきているのでしょうか? がんが見つかったときの心構え、ができていたら、がんを治療しながら働くこと、がんに罹患したことによって仕事や家庭を失わずにすむのかもしれません。 コロナ禍をへてますます不安だらけのいま、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。◆関連テーマのバックナンバー
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