第15回国際女性ビジネス会議リポート

分科会リポート

Working Mothers & Working Fathers ~働くパパと一緒に社会を動かす

(安藤哲也 / 小崎恭弘 / 滝村雅晴 / 治部れんげ / 小林晴美※)※ファシリテーターピアのリポートを読む

「Working Mothers & Working Fathers ~働くパパと一緒に社会を動かす」では、ファザーリングジャパン代表の安藤哲也さん、元保育士で現在は大学で教鞭をとる小崎恭弘さん、日本で唯一の「パパ料理研究家」に転身した滝村雅晴さん、そして気鋭のジャーナリスト治部れんげさんを講師に迎え、イー・ウーマンの小林晴美がファシリテートを担当しました。


治部れんげさん

イー・ウーマン「働く人の円卓会議」議長も務める治部さんは、職場でも家庭でも分担協力体制を組み、2歳の男の子を育てています。米国留学中にアメリカ男性の家事育児参加と妻のキャリアの関係について研究を行った経験から「働く女性のキャリアには、パートナーである男性の協力が欠かせない」との結論に達し、日本でもさらなる男性の家事育児参加が重要だと述べました。


安藤哲也さん

9回の転職の末、大企業在職中に「笑っている父親」を増やすことで日本を変えよう、とNPOを立ち上げた安藤さん。毎日イベントや講演、マスコミ対応と忙しいなか、働く時間は10時−16時と決め、子どもの送り迎えや家事も楽しんで行っていると語り、参加者を驚かせました。流行の「イクメン」も、ファッション先行で家事には非協力的なのは「偽イクメン」と容赦なし。また、あと7年で男性も育休を取ることが当たり前の世の中にすることを宣言。そのためにも、「男に家事育児は無理」という女性側の意識変革も必要と訴えます。


滝村雅晴さん

そんな安藤さんを新聞記事で知ったことで、バリバリのサラリーマンから「パパ料理研究家」に転身した滝村さんは、自称「突然変異パパ」。最初から料理が得意だったわけではないとのお話に女性たちの目が輝きました。滝村さんは、好きなことを仕事にして、子育ても楽しんでいる姿を子どもたちに見せていくことや、パパが家庭の日常の料理を担当することから「ワークライフ・“ソーシャル”・バランス」(仕事と家庭、プラス社会)につながっていくという考え方を広めたいと語りました。


小崎恭弘さん

仕事でも家庭でも“子育てのプロ”の小崎さんは、3人の男の子のパパです。ご自身が最初の育休を取得したときの周囲の反応や、20年近く経った今も変わらない「父の子育て」に対する日本社会の姿勢をユーモアたっぷりに指摘。働くママの共感を呼ぶ子育てエピソードを次々披露して会場を大いに沸かせる一方で、「今の日本では、“子どもの幸せな育ち”という視点が、社会や政策に圧倒的に欠けている」と締めくくりました。


小林晴美

「円卓会議」で働く母親の子育てに関する議論を扱うことも多い小林は「円卓会議での議論を見ていても、『育児は母が』という意識が根強い印象がある。育児を楽しむパパや、仕事を楽しむママのロールモデルが増えれば社会も動くのではないか」と訴え、自ら事例になろうという人たちをイー・ウーマンは応援すると語りました。

会場には人事の担当者も多かったことから、後半では企業や国の取り組みの話へ。治部さん曰く「大企業については育児支援の制度自体はもう十分。むしろ制度が活用できていないことが問題」。また、講師の発言に会場から即時に反応が上がったり、参加者から自社の参考事例のシェアがあったり、講師と参加者が一体となって盛り上がりました。

その他にも参加者からは「バリバリ働き、さらに勉強も育児も妥協したくない夫」「充実した制度を、取得もしやすいように変えていくには?」など、真剣な質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。

男性の参加者も目立ったこの分科会。終了後は、講師に名刺交換を求める長蛇の列ができ、参加者にとっても印象深い楽しい分科会になったようでした。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

【ピアからのリポート】ピアとは?

■家事するパパの早期実現を目指す(天埜由貴さん)

「ゼロから自分で組み立て、予想以上の出来栄え(成果)を得るのが楽しい!」男性側からの「パパ論」の話を伺うと、ママ側は「パパの自主的に訴えるようアプローチを変える」必要性と、「お任せする肝の太さ」が要求される事を痛感しました。これを踏まえ、金額だけでなく、お互いの状況の把握と歩み寄りを繰り返し、楽しみ成長できる「家族」を組み立てる事が大切だと思いました。企業のコミュニケーション研修以上の成果が「パパ研修」には見込めそうですね。


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