佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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富永誠一さん

特定非営利活動法人 全国社外取締役ネットワーク 事務局長

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社外取締役がいる企業は51パーセント

佐々木

課長、部長、社長みたいな、オペレーションをきちんとしていくオフィサーとして上がっていく執行役員のトップが社長ではあるけれど、ここはずっとオフィサーというか、業務をしている人のキャリアトラックであるわけですね。わかりやすいです。そうすると、取締役会というのは、考え方としては全部社外ですか?

富永

全体最適を実現する意味で、社内の事情をよく知っている社内の取締役は必要ですから、監督するポストが全員社外である必要はないと思います。ただ、社内の人だけで監督するのは難しいと思うので、一定数、最低でも複数の社外が入らないと対外的に説得力を持たないのではないかという気がしますね。

佐々木

確かに、仕事をする上では基本的に社内には1つのキャリアトラックがあって、執行役員を目指す。その人たちが正しい経営をしているか、あるいは正しい行いで人が選ばれていっているのかどうかというところを監督したり、チェックするというのが取締役会、と分けるとシンプルですね。

富永

そうですね。理想的にはそうです。理想どおりに進まないのがこの世の中の難しいところで。しかも、それはそんなに簡単に超えられるハードルではない、高いハードルだということだと思います。

佐々木

今、上場企業が4千社弱のうち、社外取締役がいるのが半分くらいの企業ということなのでしょうか。

富永

この間、東証上場企業で調べたら、今年初めて半分を超えたみたいです。法律上の社外取締役ですが。

佐々木

法律上の社外取締役。

富永

独立性は無視して、という意味です。親会社でもいいし、取引先でもいいですが、とりあえず、社外だという意味では導入企業は過半数を超えたと。その意味では記念すべき年になったのかもしれません。

佐々木

これは2011年の発表ですね。

富永

はい、2011年6月の総会を経て、東証のホームページで検索する限りは、社外取締役がいる企業は51パーセントでした。去年は48パーセント台でしたので、毎年、1、2パーセント上がってきていることから、今年は半数を超えるかな?来年かな?と思っていたら、今年でした。

佐々木

そうですか。それは独立性については書いてないんですか?

富永

会社法の社外取締役の定義では、簡単に言えば、親会社でもいいし、大株主でもいいし、取引先でもいい、顧問契約があったっていい、ということなんです。監督するためには社外性だけでは不十分で、求められるのは独立性なのですが、今の日本の制度はそこまで到達していないのが現状です。

佐々木

これを読んでいる方がどういう立場の方がどんな知識でお読みになっているかは分からないので、全く分からない方のために説明すると、同じ過去を共有し、同じ事情と悩みを抱え、何ができなくて、何が困ってしまって、「私たちも一生懸命やったよね」という苦しみも分かち合った仲間だけで取締役会を作り、明日を決めていると、なかなか広がりもない。

富永

これって、ものすごく大きなリスクを背負っていませんか?ということですね。

佐々木

背負っていますし、間違いを犯す。

富永

可能性がありますよね。

佐々木

なので、違った視点と立場から、決断が正しいのかどうか、別の考え方の選択肢はないのか提案するのが社外取締役。

富永

重要な役割だと思います。


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