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そのときに人が見つけにくいという現実があるんですね。男性でも難しいのに、女性であればもっと難しいのも事実です。外国人も難しい。私のところにも、「女性の取締役を探しているけど、佐々木さん、いい人を紹介してくれない?」とご相談があるので候補者をご紹介していこうと思うのです。どんなふうに人を見つけたらいいのか分からない会社があるのだろうと。
いらっしゃるでしょうね。上場会社の取締役はこういうポストで、執行役員との役割分担はこうです、ときちんと整理することが前提ですが、独立した立場が必要ということを考えると、社長さんが友達を連れてきて済むようなものではありません。もちろん友達でも、言うべきことが言えれば問題は起こらないのですが、やはり第三者に絡んでもらった方がいいと思うんです。実際に、ガバナンス先進国では、そういった選び方をしています。それが女性でしたら、佐々木さんのところに来るでしょうし、僕たちもコーポレート・ガバナンスを推進する第三者団体で、候補者のリストをいっぱい持っていますので、お役に立つことができる。さらに僕たちの立場としては、就任後の社外取締役のレベルアップにも貢献しなければいけません。
先ほどから出ている独立性という言葉について、どのように定義されていますか?
簡単に言えば、利害関係があってはいけないということです。大株主や取引先の出身者、顧問やアドバイザー契約をして社外取締役とは別の報酬をもらっているとか、当然親族もダメです。
その企業の出身者も当然ダメだと。
従業員出身者は法律上ダメですね。
ただですね、あまりにも独立性のハードルを上げすぎてしまうと、候補者の幅を狭めてしまうんです。例えば、総合商社や銀行など、多様な企業と取引があるような会社の出身者は難しくなってしまうので、そこはある程度の数字で切ってやるしかない。独立性は重要だけれども、あまり独立性ばかりを突き詰めて考えすぎると、今度は人がいないという話になってしまうので、そこはバランス感覚を持ってやっていった方がいいかなという気がします。
当然ながら、ガバナンスをよくするという目的がしっかり分かっていれば。
もちろんそれは必要ですね。本来、それであれば、社外取締役自身の精神が独立していればいいんですよ。独立性を英語で言うとIndependent。Dependentはどこかに依存するという意味ですから、Independentはどこにも依存していないというのが本意です。ただし、外形基準も作らないと説得力を持たないので、外形基準を満たした上で、精神的に独立している人が望ましい。逆に言えば、外形基準が整っていても、精神的に独立していないとあまり意味のないことになりかねない。
それはすごく重要で、過去に関係がなくても、その会社の社外取締役だけが唯一の収入源という人は独立性がなくなる可能性がある。そこからの報酬がなくなると、明日から食べていかれないとなると、徐々に精神的に独立ができなくなりますよね。その会社1社のみと仕事をしていると、1年、2年たつうちに社内の取締役と同じような感じになるので、日付がたつにつれて、実は独立性がなくなっていくのではないかと。
おっしゃることはすごくいいポイントです。これは2つあるのですが、1つは、経済の独立性です。例えば、その人がすでにセミリタイアされていて、年金がきちんともらえていれば経済的には独立していると言えるでしょう。また、社外取締役を業としている人がいれば、社外取締役を3社やっていても、たとえ1社からの報酬がなくなっても大丈夫という考え方もできる。ただ、経済的にその会社だけに依存してしまうと、おそらく形式上は独立していても、社外取締役として機能することは難しいでしょう。
そうですよね。
その場合は、やはり自分でリスクヘッジをする意味で、複数の社外取締役をするか、自分で本業の仕事を持つかということになるのでしょう。