イー・ウーマン（ewoman）

海上保安庁の巡視船と中国漁船とが接触、海保が漁船の船長を逮捕した事件で、中国側は態度を硬化、東シナ海での日中共同開発の交渉を延期するとともに、丹羽駐中国大使を未明に呼び出し「賢明な政治決断」を求める事態になっています。
 
尖閣諸島は、日中両国とも自国の領土を主張し、日本が領海とする付近の海域で、最近は中国漁船の操業が目立っていたそうですが、今回は、中国漁船が巡視船の退去警告に従わず、ぶつかったり、逃げようとしたりしたため、逮捕したと海保は説明しています。
 
日本の平和と経済発展には、良好な日中関係が不可欠だと思いますが、領土問題となると、双方とも一歩も引けなくなります。双方の国民感情が安易な妥協を許さないからです。このところ、中国が海軍力の強化を進め、海上での示威行動を強めているのも気になるところです。
 
尖閣諸島は、日本が「実効支配」し、日本側は「領土問題は存在しない」という立場を取っていますが、ここでの対立が先鋭化すると、中国による尖閣諸島占拠という悪夢も現実性を帯びてくるように思えます。
 
 一方、日中間の経済の深い結びつきや、多くの中国人観光客が日本を訪れている現実を見れば、領土問題で日中関係全体が壊れるとは思えません。

ということで、尖閣諸島をめぐる日中関係について、議論してみましょう。

• 2010.09.13
• 高成田享 コラムニスト、元 朝日新聞論説委員