佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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秋池玲子さん

ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター

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私は事業の立て直しに行く

秋池

その瞬間は4月頃。移動中に新聞を読んでいて、「私、これに行こう」と思ったんですよ。6月にはもう機構にいました。

佐々木

え? そんなに早いと、マッキンゼーの方々も驚かれたんじゃないですか。

秋池

そうですね。ただ、ちょうど、ずっと担当していたクライアントさんでの取り組みが一息ついたところで、そういう意味では、タイミングがよかったな、と。もちろん、だからって転職したい気になったわけではなくて、たまたまひらめいたのですけれどね。

それは何かっていうと、アドバイスする側ばかりではなくて、自分が決める側に回ってみると、また違うことも見えることもあるんじゃないかと思ったのがひとつ。もう一つは、2003年頃は本当に、不景気のどん底っていう感じがありましたよね。今は更にひどい不景気が来てしまったので、その当時のショックが社会から消えてしまっていますけれど。だから、日本のために何かできることがあれば、と思ったというのがありました。

佐々木

すごい。でも、チャレンジングだなと思って。産業再生機構での秋池さんの有名なお仕事は、バスの会社だったり、カネボウ化粧品だったりするんだけれども。全部で41件、ありましたよね。記憶に大きい、強いものは、どれですか。

秋池

そうですね。機構全体で41件で、私自身は主にバス会社を3社と、あとカネボウ化粧品をやっていました。再生機構の中でも、金融などの担当の方は支援開始と終了のところで集中的に仕事があって、それが終わると次の案件に取り組んだりするから、割合に数をたくさんやっていらしたりするけど、私は事業の立て直しに行くので、半年とか1年とか張りついて仕事をしていました。ですから数で言うと少なめです。バス会社は、熊本と栃木と宮崎とがありました。

佐々木

特に熊本が有名。

秋池

熊本で忘れがたいのは、機構としての一番最初の案件でもあったこともありますね。機構の業務がスタートしても、最初は案件の精査を秘密裏にやっているので、機構の中では皆忙しく働いているのですが、外から見ると、なかなか支援案件が出ないで、機構は何をしているのかと言われていました。それで最初に表に出たのが、このバス会社など数件だったのです。世間は巨大な案件を期待されていたようで、「小さい案件だ」と言われたのですけれど、でも、小さいと言っても従業員は5000人近くいたし、全県の交通を担っていることもあったし、業界に対してそれなりに意味があるんじゃないかと密かに思っていました。


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