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バス会社って全国に420社もあるんですね。多くが、過疎地の赤字路線を抱えて苦しい経営をしています。地方の人口は減っているし、自家用車が普及した現在では、昔と違ってあまりバスに乗らないものですから。でも、なくなると過疎地のお年寄りや学生さんが病院や学校に行けなくなってしまう。どうしたらいいんだろうと悩みながらも、ギリギリの努力で持ちこたえている会社が多いのです。この熊本の九州産業交通が、バス会社の最初の再生事例です。ですから、この成功事例を皆が真似して、インフラであるバス会社の再生が全国に広がっていけばばいい、それこそが国の機関が関与した意味だ、と考えていました。
一つのベンチマークになる。
小型の案件、と言われても、意味があるようにやりたいと思って。
熊本には半年くらい住まれたんですか?
そうですね。全部終わるまでの2年近く通っていましたけど、6〜7ヵ月は、ずっとそちらにいました。
案件によって違うとは思いますが、現場に行って、どこから手をつけるんですか? 何人のチームで担当するんですか?
チームは10人近くいましたが、担当が皆違って、弁護士、会計士の他に、金融、不動産、人事、ホテルの専門家、あと、空港とか高速のサービスエリアなどにたくさん売店を持っていたので、それらの品揃えを良くして収益を上げるのが得意な人とか、様々な専門家の混合チームです。
へえ、面白い。
私は、事業の全体を見る、ということで行っていて、専門の担当者がいない部分は直接やりました。バス会社と聞いていたので、行く前はバスだけをやっていると思っていたら、事業が21あって、フェリーやロープウェーもあれば、水族館やボーリング場のような事業もあるし、要するに運輸と観光関連の事業をたくさんやっていたんですね。その一つ一つを全部見て、継続するものしないものを分けるのが最初の仕事でした。
まさに事業仕分けですね。その仕分けのポイントは?
たぶん一般的には黒字だからやる、赤字はやらない、という判断をするのでしょうが、私はそうではなくて、赤字でもうまくできるものはやる。黒字でも自分よりも得意な人が世の中にいるものはやめる。……というのは絶対、将来、競争に勝てなくなるから。