佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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秋池玲子さん

ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター

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半年以内がいろんな意味での勝負

佐々木

でも、逆を言えば、どんなにすてきなプランができても、実行する人が実行しなければ変わらない。例えば今この時期も、不況が少し底を打ったというニュースがある一方で、私がお話する小さい企業は、まだまだ皆厳しいことを仰っているから、この秋池さんのお話しを、すがるように読む人がいるんじゃないかと思うんだけど。組織の改革が必要だと多くのトップは分かっている。自分も含めて、何かを変えなきゃいけないと。でも、それをどうやって社員の隅々まで伝えればリバイブしていくんだろうか、という点が大切ですよね。

秋池

人によって、その方の得意なパターンってあると思うんですけれども、一般的に、再生とか、再生とまでは言わないまでもギリギリのところでやっている組織では、止めること、変えなくてはいけないことを早く実行するのが大切です。拙速な計画作成で間違えるのもいけませんが、改革案ができればすぐに発表して、変えるべき部分は半年以内ぐらいで片をつけたほうがいいです。

半年以内がいろんな意味での勝負だと思っています。なぜなら人の緊張感はそれほど長続きしないからです。、やるつもりなのに時間が経ってしまうと、会社は危なかったみたいだけれど、このままでもいいのかもしれないと、社員が思い始めてしまいます。そうなると組織改革はとても難しくなります。

また、「そこそこの業績のこの事業は見直したい」と経営陣が思いながらも、「皆頑張っているから、あと1〜2年様子を見てみよう」というのも、うまくいきません。「そこそこ」のものに対して、会社はそれ以上、経営資源も人材も配分しないから、「そこそこ」は、1年経っても、2年経っても、「そこそこ」のままであることが多いからです。

やると決めたらスパッと外科手術的なことはやってしまう方が結果的には良いと思っています。会社は出血しているのですから、止血をして、内科療法に早く入った方がいいのです。

事業が傷めば傷むほど、その事業をやめるときの条件も悪くなります。たとえば売却するにしても、安くしか売れないし、その上、売却後に大きなリストラをされて、雇用が失われることにもなりかねません。

今、売却するのだったら「雇用を維持してください」という条件で買ってもらえたかもしれないのに、来年になって、もっと赤字や負債が膨らんでしまったら、そういう条件をつけることもできなくなるし、買われたとたんに、黒字化のために一気に人的リストラをされてしまうかもしれません。それに、事業も毀損していますから、社員のモチベーションを上げたり、顧客の信頼を回復したり、普通の状態に戻るまでにもっと苦しい思いをしなくてはならなくなります。「そこそこ」の事業の様子を見ようというのは、優しいようでいて、結果的に優しくない決断になってしまうことがありますから。


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