佐々木かをりのwinwin

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秋池玲子さん

ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター

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「日本人の生産性は低い」ってところになっちゃう

佐々木

何かをやったときに、日本は、一人ひとりが少しの自由を求めるがために、チームとしての総合得点が低い。アメリカのほうが、その辺はいろいろ我慢もして、チームとしては最終的に結果ではポイントを上げるっていうことなんですね。

秋池

要素を見ると、日本のものやサービスの方が作りこんでいて優れているのに、ビジネスとして見ると成果につながっていないというような場合もありますよね。

佐々木

繋がっていない、相乗効果が上がらないんですよね、きっと。勝手な判断と、自分たちの思い込みになっている。情熱で各部をやっているから、そこだけを見ると、いろんな言い訳も理由もあるし、ある程度の成果もあがっている。確かに品質はいいんだけど、横のつながり、総合的視点、長期視点で考えると、整合性がなかったり、無駄に同じことをしているじゃないか、というのが出てきちゃうっていうことですよね。

秋池

それは考えようによっては強靭さかもしれなくて、こっちを切られても、こっちは生きている、と。

佐々木

トカゲみたいに。

秋池

そういう強さはあるかもしれないんだけれども、組織の縦割りの中で作りこんでいても、組織全体として見たときのパフォーマンスがあがらないことがある。「日本人の生産性は低い」と言われてしまうゆえんですね。

佐々木

それって、でも、国全体もそうかもしれないですね。国としての生産性を考えたときに、アメリカは「こういう業界を強めるぞ」と言ったらガーンとやったり、シリコンバレーが誕生したりして、それを応援していくわけだけど、日本は世界でも50パーセントのシェアをとるような技術を持つ企業がが大田区に集中しているのに、そこに光が当たらない。

秋池

ビジョンとか戦略が発表されたりしても、それを全社を挙げて徹底的にやってはいなかったり、発表された内容が、現実を知っている各部門のリーダーからすると絵空事に聞こえちゃうような程度の詰めしかしていなかったり。

誰もが納得するような詰めた分析が裏に用意されていて、「でも違うんじゃないですか」と言う人がいたときに、反論したり説得したりできる、十分な裏づけがあることは経営側には大切です。それから、打ち出した方向性を受けて、各部門での取り組みが本当に進んでいるかどうかを、毎週、毎月、確認することも、全社としての取り組みを、組織の隅々にまで徹底するには大切です。毎週、毎月、役員に確認されると思えば、自然とそちらへ向かって努力をするのですよね。組織全体の動きが一つの方向に揃っていく。

組織を動かそうと思ったら、魔法はなくて、継続することと、見ている、というシグナルを送り続けることが重要です。そういう意味ではリーダーには、まめさも必要。それらがあいまっての徹底力ではないかと思います。


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