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そして、エキュートのビジネスがすごく注目を浴びたわけですけど、これは、「人が通り過ぎていく駅から集う駅へ」と仰っていたかと思うんですけど、そういった発想の転換と、そこまでは、「ここのスペースで何か売ったらいいのに」ぐらいはだれもが考えただろうけれど、それを大成功させるまでの仕掛けっていうのは、相当勉強もされたし、工夫された。
ちょっとずつ違うだけなんですよね。「ああいう駅の構内があったら、ああいうものを作れば絶対に売れるんだ」って、誰もが思います。でも駅の中だから難しくて、外では、もうできていたことが、たくさんあるんですね。
たとえば、空調を効かせたほうがいいとか、トイレも、わざわざこの駅のトイレを使って次の駅に行こうって思うような、快適なトイレにしたい。臭くもなく、 BGMもそうですけど、ベビーカーを入れても安心できるような、きれいな。照明計画もそうですし、鉄道のサインと店舗サインが、はっきり見やすいように分かれているとか、当たり前のことが当たり前にできない。
それは、今まで鉄道の付帯事業としてお店を作ってきたっていう歴史なんですね。それを抜本から変えた。同じ空間の中で共存して、それぞれの機能をお客様が利用している、という概念の違いなんですよね。
その概念の違いに気がついて提案しても、やっぱり会社の中では実施までに課題がたくさんあったと思うんです。抵抗を崩していくためには、何が大切でしたか。データですか?
データが一番説得力あるんですよね。でもデータがないんですよね。
新しいことをやろうとすると、事例がないわけだから。
そうなんです。「持ってこい」って言われるんですけど、前例がないから新しいんですよね。そこのところがすごく難しかったですね。だから最後まで納得してもらっていない部分はあったと思うんです。だから、最初の大宮が出来た時「こういうことだったのか」とも言って頂けたし、出来きれなかった部分を品川でやった、という部分もあったりしたんですよ。
ただ、データは大事なんですが、最終的には相手が言う反対の理屈を一個一個潰していって、残りがないようにしていくっていうのも1つの論法なんですね。