佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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鎌田由美子さん

東日本旅客鉄道株式会社/事業創造本部 地域活性化部門 部長

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一筆書けと言われたら、一筆書きますよ

佐々木

一つ一つ潰していって、八方ふさがりにするんだ。

鎌田

たとえばトイレなんかでも、こういったトイレを作りたいって言ったときに、「そういったお客様のニーズはなくて、今のままで十分なんじゃないか」と言われる。その時に「このトイレと今のトイレは、こういう項目が違います。この項目がダメなんですか?」っていう問いかけなんです。

たとえばデザインを、コンコースとか、お店と一体化したデザインの中で、色やレイアウトを考えていく。それ自体は抽象的だからイエスでもノーでもないんですよね。でも、「こんなデザインにしたらコストがかかるだろう」っていうのが出てくるわけですよ。反対の理由があるんです。でも「コストは変わりません」と。

佐々木

ペンキを白に塗ってもピンクに塗っても同じ価格です、と。

鎌田

そうなんですよ! その次に、臭いんで、その臭いをどう取るか。で、何回もやったんですよ。取ろうとすればするほど塩素臭くなるんですね。「だったら、つけよう」っていう部下の発案で、「アロマをつけさせてください」って言ったら、今度は「アロマの香りで気持ちが悪くなる人が出る」って言われたので、「じゃあ、気持ち悪くなる人が出た時点で、それは速やかに撤去します。アロマの設置費用は子会社が負担します。だから、やらせてください。「一筆書けと言われたら、一筆書きますよ」と言ったら、書かされませんでしたけど、それもOKですよね。

佐々木

それは今もアロマはあるんですか?

鎌田

すごく好評で、結局、お客様からどこで買えるの?という声も多く、品川のサンズコートで取り扱ってもらうまでになっちゃったんです。最初、大宮の女性トイレだけだったんですが、今回、大宮のトイレリニューアルで、男性にもつけたんです。クレーム、1件もないんです。

佐々木

すごいですね。

鎌田

そういうもんですよね。

佐々木

そうやって一つ一つ、相手との交渉をしていく仕事は、鎌田さんご自身でやっていくものなんですか?

鎌田

私がやった部分と、部下がやった部分があります。でも、そんなに難しくないと思うんですよ。あきらめない根気はいりますけど、先ほど仰ったように、白でもピンクでも変わらないですよね。

佐々木

そう。学校を見ても思うんです。家もそう。「同じペンキの値段なのに、何で皆、こんな白とかグレーに塗っているんだろう」って思ってね。黄色とか緑にするだけで、環境が変わりますものね。

鎌田

ちょっと色を変えるだけで、どれだけ楽しくなるかっていう。じゃあ曲線にするのか、直角にするのか。コストが確かに変わることもあるんですけど、変わらないものもあるじゃないですか。今時、既成のもので、活用できるものがあるんだったら、曲線か直角かよりそっちのほうが安くなることだってあるわけですよね。


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