佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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鎌田由美子さん

東日本旅客鉄道株式会社/事業創造本部 地域活性化部門 部長

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もっと地方の人が喜ぶようなものが

佐々木

それで、いま取り組まれている地方プロジェクトですが、越後湯沢のが一番最初じゃないんですね。

鎌田

越後湯沢は地方版のステーションルネッサンスで、今やっている仕事の中では規模が大きいほうです。エキュート時代から「地方」に興味があると言っていたのは、エキュートは全部都心なんですが、東京で仕事をやっていて、東京が疲弊しているなって思ったんです。

もうブランドの取り合いの時代でもないし、オーバーストアだし、だけどその一方で、個性的な日本の地方文化がアピールできてない、もっと双方の人が喜ぶようなものが、都心と地方でできる、と。

ものづくりは、いいものができているんだけど、そのままだと付加価値が少なくお金が地元に落ちない。お金が落ちないと後継者がいないし、雇用の場がないから、嫌でも東京に働きに出るっていうことになってしまう。そこの循環を変えることが少しでもできたらいいなと思って。

異動して1年半、部下と一緒に結構たくさん仕掛けました。私が今いる事業創造本部っていうのは、流通とか、広告、オフィス、ホテルとか、鉄道以外の所管なんです。鉄道と旅行は違うセクションになるんです。ですから、社内の全体を巻き込んでのプロジェクトにならないと地方の仕事はスムーズにいかない。そこで観光とかの大きな視点のもとに地域活性化をしていきたい、と。

地方でいろんなことを地元の人と一緒に仕掛けて、それと同時に、東京のほうでもそういう場を設ける。東京の場っていうのは、ただの物産展ではなくて、東京の場を通じて、人に地方のほうにも行ってもらう、と。で、行ったところでdoをする、つまり何かをするというような動きをしながら、一部の人たちはそこでまた働きだすというような、そういったものにしていきたいな、と考えているんです。

でもこれだけじゃ抽象的ですよね。全体概念と「点」での具体的な地元との取り組みを同時にやっている段階です。もう少しすると全体が見えるようになるかもしれない。たとえばこの写真が、越後湯沢駅の、ビフォア&アフター。

佐々木

(ビフォアを見て)こういう駅、いっぱいありますね。

鎌田

そうなんですよ。でも、これ、売上1つとっても、アフターのほうだと前年の倍以上になりまして。

佐々木

そうでしょうね。新幹線に乗って出張すると、何しろ時間がないですから、駅が改良されていたらもっと買い物するのに、と思うこと多々あります。

鎌田

そうなんですよね。

佐々木

ホームまでの距離感が分からないから、買い物がゆっくりできないとか。

鎌田

そうなんですよね。食事も、地方に行ったらゆっくりできるかっていうと、そうでもなくて。ビジターセンターなんかも、今までは、ここの中に、ちょこんとあったんですけど、大きくして、観光案内と、本と、カフェと、駅の待合室とか、全部一緒にしたんですね。そうしたら外国人のお客様も200パーセント以上に増えて、すごく地元でも喜んでいるんですよ。4ヵ国語表記もしっかりできてます。

地元にとっても、駅が街の案内にもなってきますし、越後湯沢は雪国観光圏の拠点でもあるんです。で、雪国観光圏に、この場所で一緒にイベントもやってもらったりしているんですね、街の人たちに駅に出てきてもらって。

今、都心の告知では東京駅とか品川駅に、デジタルサイネージ、電子広告が増えてますが、そこで一緒に販促のソフトを製作して告知をしたりしているんです。そうすると地元の人が東京に出て来た時や、地元出身の東京に住んでる人がまた喜んでくれたりして。「共存していく」っていう考え方。で、これもこのプロジェクトの中で出てきているんですが、「ともに作り上げていく、共創」という考え方でやっているんです。


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