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今日はお会いするのを楽しみにしていました。「レオニー」を拝見いたしました。私は、11歳と16歳の子どもがいるので、何と言っても、あの10歳の息子に、レオニーが、”You don’t act like ten.”と言って家づくりを指示する。あのシーンは、本当に憧れでした。思わず北海道かどこかに土地を買って、私もやってみようかなと思ってしまったくらい。レオニーは、母親として非常に魅力的で、私にとっては本当に憧れです。あんなふうに子どもを育てることに真剣になれたらっていうと、何だか真剣じゃないみたいですけど、いいなあ、と。
やっぱり産み方もありますね。自分の責任において産んだっていうのが、すごく強いと思うし。私の息子はもう36歳なんですけれども、自分の息子にあそこまで断言できるものなんて何もない。彼女だったからなのか、今がそういう時代じゃなくなったのか。たとえば学校に行かなくなったっていうことを、「それでいいんだ」と言い切れる、それは自分が相当ある、というか。私自身いろんなところで自分を重ねてシナリオを書いているつもりだけれども、これだけ断言するっていう母親の部分が一番すごいなって。一番違うと思いました。
そうですよね。「学校に行かなくていいから、家を作りなさい」と。
そう。今、お母さんたちは周りと違うのが心配になってしまうとか、皆と同じことができないっていうことが、ものすごくハラハラしちゃうのが、普通、親だと思うけれども、そこがすごいですよね。
レベルが違いますよね。私は、周囲と違うことは気にならないけれど、でも、 レオニーは、こどもの進路まで断言する。「あなたはアートでしょ」って。医学の道を歩んでいる子どもに、あの断言はすごいです。あれはどういう確信があるんでしょう?
やっぱり、イサム・ノグチという人は、特別に子供の頃から秀でたものがあったと思う。あと、私がすごく感じるのは、レオニーという女性は、ヨネに対する恋愛の仕方もそうだけれども、アーティストに対して非常にリスペクトが強いというか、アートに対する、もしかしたらコンプレックスが強いかもしれない、と。”Artist is the best.”っていう、そういう元々の何かがあるんじゃないかなっていう気はしましたね。
そうか。あんなに自立とか独自性を身につけて育ったにもかかわらず、アーティストに対しては服従さえしてしまうようなところがあるんですよね。自立をしたいという独立心や、自分の強さと、でも愛するものには振り回されようが、自分のすべてを捧げようが構わないという気持ち。それも強さだと思うのですが、それがアートに対してでしょうか。
アートに対してだと思いますよね。原作を書かれたドウスさんも、いろいろ調べられて、「レオニーは結局、自分自身が一義的にアーティストになりきれなかった、それだけの才能を持てなかった人だったからかもしれないわね」っていうことを仰っていました。彼女がたとえば文筆で名をなす、みたいなことがあったら、あそこまでにはならなかったと。でも私、あれも女性の特質かなと思うんですね。自分が愛するものの、その才能を……。
光らせる最高のプロデューサーであり、演出家でありっていう。秀でるものを見つける。で、育てて光らせるっていう。
そう。「私が生み出した」っていう。で、自分はそれのサポート役であっても、「この人を作ったのは私よ」「この人は私が世に送り出した」っていうね。それが、もしかしたら非常に女性固有の、そこで満足感を持てるものなのかもしれないな、というふうに思います。
『レオニー』
11月20日(土)
角川シネマ新宿他 全国ロードショー
配給:角川映画
© レオニーパートナーズ合同会社