働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
俳優って、今はルックスから入っていくことが多いけど、実人生でちゃんといろんな体験をしていないと魅力的な演技なんてできないと思うのね。獅童さんは、ご自分が離婚という痛手を体験した。しかも世間にああいうふうに指弾されながら。俳優さんって、そういうのを生身で経験していることが、演技の糧になるんですよ。だから獅童さんは、自らの体験を、きっとこのヨネをやるときに生かしたいい演技をしてくれるだろう、と。
彼はそこで、スキャンダルと重なるからって拒否することなく、すごく英語も訓練しながら、一生懸命挑戦した。本当に世間は、私も含めて、誤解している。それこそワイドショー的な視点でその人を見すぎているな、というふうに感じました。
で、私は監督として、現場ではエミリーさんと獅童さんの2人に神経もエネルギーも集中しなければならないと思ったので、ほかの出演者たちは私が気を使わなくていい人、私が本当に信頼する人、楽にできる人という意味でお願いしたんです。前作の「折り梅」に出て下さった原田美枝子さんと吉行和子さんのお2人のようにね。
中村雅俊さんは彼が俳優としてデビューしたとき、私がライターとして取材で出会って、その頃からの古いお友達なんです。大地康雄さんも個人的にちょっとお知り合いだったり。そういうふうな感じで、周りは気を使わなくていい人、というと失礼ですが、安心して任せられる方々にお願いしました。皆さんビッグな方なのに、私の挑戦に何かを感じて、「助けてあげたい」と思ってくださったのかもしれません。
原田美枝子さんなは「私も、いつかハリウッドに行って芝居ができるようになれたらいいなと思って、10年以上英語の勉強をしていたから、やっと英語で台詞が言えるわ。嬉しい」って仰ってくださって。本当に恵まれていましたね。
本当に一人一人の役者さんの存在感がストーリーの中に人物の重さとして、しっかりある。先程の「滴が一つ一つ落ちるように」という表現はまさにその通りで。
皆さんの演技のひとつひとつが、輝く水滴で…。
でも本当にそんな感じです。一つ一つのシーンに、水滴が一つずつっていうのは、本当にそのとおりだと思います。