働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
実は、私がいたお店の店長さんが青森の人で、地元でお店を出すから辞めるという話になり、当時の社長(創業者)が「店長が辞めるんだけど、誰か店長やりたい人いる?」って皆に聞いたんですよ。そこで私が真っ先に手を上げた。「私がやります」って。店長が何なのかも分からずに。
自分で何かをやりたかったんですね。それで店長になったんですが、みんな自分より年上で、一緒に働いていた人がいきなり店長になったので、やっぱり、うまくいく訳がないですよね。人には正直、とても苦労しました。
でも、やり遂げた。
私はずいぶん営業をしました。バーバーで、営業に回るなんていうことは、あまり前例が無かったのですが、オフィススビルの、一番上まで上がって、階段で一階ずつ下りてくるんです。保険会社とか一流企業を1軒、1軒。 そして、「バーバーです。○○というお店です。○○に有りますので、ぜひいらっしゃってください」って営業するんです。しかも「社長さんに会わせてください」なんて生意気に切り出すんです。すると、みなさん逆に珍しがっていただいて、会ってくれました。バーバーの女性が営業だって言って、マッチを持って来たって。
マッチを持って、いわゆる「床屋さん」が営業に来ているわけですね。髪はうちの床屋で切ってください、社長さん、よろしくって。それはすごい。
結局、お店はどんどん忙しくなっていきまして。いつも帰るのが11時とか、11時半ぐらい。こんなに毎日遅くまでやってたら、体が壊れちゃうって。
そこで、私はずるいので、客数を減らして、客単価を上げようと考えたんです。今まで以上の売り上げを上げるには、単価を上げるのが得策だと。そうすると、上のクラスの方に来ていただくのが良いなと。
当時から、創業者がPXで働いていたノウハウから、高橋商事では、他店より早くバーバーでフェイシャルマッサージや、マニキュアのメニューを取り入れていました。そういうサービスを喜んでいただけるのはある程度収入の高い方じゃないとできないんですよね。そこで社長さんとか、常務さんとかのクラスの方たちに営業しようと考えたんです。
当時は、一般の髪を切っている床屋さん、理容店ではいくらぐらいだったんですか?
大体、当時の平均は1000円前後だったんじゃないですかね、客単価が。1300円ぐらいかな。でも私たちは1800円ぐらい頂いていました。
社長さんたちが多かったから。
そうです。そしてその利点がもう一つ。当時、サラリーマンはサボって日中にバーバーに来ていたんです。でも社長がいるとなると、一般のサラリーマンは来れなくなっちゃう。
そりゃそうだ。隣で、「お前、何やってるんだ」ってねえ。
そうそう。そうすると、日中は単価の高いお客様たちがいらしてくださる。夕方になると、サラリーマンが集中的に来て忙しく、売り上げが上がる。私が店長になって、売り上げが2倍になったんですよ。
すごいですね!
2倍になったと言っても、能力でも何でもないです。ただ単に営業が好きなんです。そういえば、創業者である高橋会長が「須藤さんは技術は上手じゃないけど、商売がうまい」って言った事から、私は技術が上手じゃないように、会社で言い伝えられてしまいましたね。
商売上手の、その発想はどこから来てるんですか?