佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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小谷真生子さん

テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』キャスター


どっちに向いたほうが国民にとって有益なんだろうか

佐々木

そうですね。確かに、表に出ない重要な情報を伺うこともあるけれど、どのような許可を得て、どのタイミングで言っていいのかは、とても難しい。その上小谷さんの場合は、経済界の方から「ちょっと、小谷さん」って言って、耳打ちで「これ、こうなんだよ」っていうときもあるだろうし、電話で「実はこうなんだよ」ってかかってくるだろうし。向こうも「秘密裏に」って言いながらも、でもこれは小谷さんに知っていてもらってコメントをしてほしいとか、たぶんありますよね。

小谷

選択肢としてはいくつかあります。知りえた情報を「こういう説もありますが……」というふうに口頭で、一部の見解として番組内で伝えることもあります。あるいは会見をするような場合には事前にWBSで出せないか検討していただくという方法もあります。ただ、先方にとっての心地よいタイミングというのもあるでしょうし、結果として番組にとってもよければなお良いわけで。対企業、あるいは、対企業人としての個との事前のお話がとても大事ですね。

では、まずその情報を得たときに、これはどういうかたちで伝えるのが国民にとって有益なんだろうか、ということを考えます。どのように番組で出すのが一番良いのか、と。
情報は一つ取り扱い方を間違うと、世の中を不幸に導きかねない、戦争勃発に導きかねない、というのが以前の私の戦争を取材したときの思いです。戦争当事者たちの周辺国メディアが、負のバイアスがかかった情報を発信したことにより戦争は激化しました。そのように「情報を操作」するのではなく、情報を扱うプロは「情報を精査」せねばならない。

佐々木

どのタイミングで、どう出すと、この情報がプラスに働くかってことですね。

小谷

そう。メディアは、そもそも世の中を幸せにするためになければならないから。

佐々木

そうです。全面的に同意します。

小谷

でもメディアが、悪のように言われているのは、理解できる。それは、今多くのメディアが人々の不幸をあおる存在だから。で、自分は人々の幸せを追い求めるメディアでありたい。分かります?

佐々木

分かります。

小谷

既存のメディアの中には、目にするにつけ「それは違うでしょ」と自分の中に反骨精神が湧き起こる。その気持ちは貫こうと思っています。敵を作ろうがかまわず、貫く気持ちにブレはありません。

佐々木

それもわかります。強いものね。

小谷

図太いし、鈍感なんでしょうね。何だか、話がどんどん飛んじゃうわね。ごめんなさいね。

佐々木

ううん、おもしろいな、と。それって、やっぱりNHKにいらしたお父様の教えが大きいですか? お父様には、少しお会いしたことがありますけれども大変立派な方で。


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