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テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』キャスター
確かに日本はまだ、社外役員は必要か否かなどという議論があるくらいだし、開いている企業でも、女性の社外役員を入れるか、入れないかとか、そういう状態ですから。それに、経営者がいくら英語ができるって言っても、経営会議を全部英語でできるところがあるかっていうと少ないですし、年々経営者が若くなっていると言っても韓国ほどではないですよね。
韓国企業の海外展開は大胆でスピーディ。ある企業は、社内デザイナーを5~600人抱えていて、それぞれに作品を国際コンペに出させます。優勝した人間は昇給もすれば、昇格もする。以前はデザイン部門で幹部になった人間はいなかったのが、今は士気が高まりデザイナーも結果を出すようになったので、どんどん昇格させているそうです。
マインド変革というのは本当に大切ですね。韓国の気付きは、今、韓国製品を通して感じるものがあります。きっと、ある時点で価値観の変革を迫られ、それを実行に移した結果なのでしょう。世界の舞台で競争させる商品を完成させる前段階の、「人財」をどう創り上げるかに韓国企業は今、商品に対してと同じ位、注力しています。「人材が企業の成長のベースである」そして「企業の成長は国力のベース」ということを韓国はいち早く気付き、実践している印象を持ちました。人材の発掘、育成の方法も、活躍する舞台は韓国国内ではなく、世界で、ということでした。
本当の意味でのダイバーシティーということですね。ダイバーシティとは、経営の様々なプロセスで多様な視点が反映された決定をしていく、ということ。会議の写真を撮ったら今までと違い女性や外国人が写っているという話じゃなくて、その商品を決定するとか、売り方を考えるとか、マーケティング手法を考えるなどの全部のプロセスに多様な考えが入ったほうが、実は儲かりますよ、という話です。
そう。今、同じアジア圏の企業がそう動き始めている。国籍もジェンダーも段々関係ない時代になりつつあるのでしょうね。日本人は合理的な面もあるのに、閉鎖的な面の方が今はまだ勝っている気がします。それでなんとか、しのいでいければ良いのですが。これまでの日本の良い面でもあったウェットな面と同じくらい将来的には、ドライな面も持ち合わせていかざるをえないと感じます。そうしないと日本の外に出て、他国の人たちとのコミュニケーションがなかなかうまくいかないのでは。「割り切れないし、不安だから守りに入る」という対外的な姿勢から「割り切って、日本の外と交流する」になっていくのではないでしょうか。そうしていかなければ、日本の成長は頭打ちしてしまう気がしています。
東南アジア諸国は随分前から、日本がアジア圏をとりまとめてくれるであろうと期待していたそうなのですが、今はその期待もあまりされていないそうです。もう少し早く日本が外に目を向け、行動を起こしておくべきだったのかもしれません。
確かに、ダイバーシティーと女性活用は違うのに、そう思っている会社も日本にはまだいっぱいいる。でも、おもしろいなあ。韓国の取材がおもしろかったっていうのは、内容もおもしろかったし、日本との関連性を考える上でもおもしろかったんだろうけど、いろいろ引き出せるというのは、小谷さんの取材術が、この13年の間に長けてきているんだと思うんですけど。
ないわよ。取材術なんてないですよ。
あるでしょう。一目会うと好きになっちゃうから皆が心を開くとか。そういうことは他の人は学びようもない術なんだけど、他の人が真似できる術もありますか? 取材やインタビューで気をつけていることとか、勉強法とか……。