佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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小谷真生子さん

テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』キャスター


メディアの人間が持つ特有の腹黒さみたいなものを一切払拭する

小谷

それはかをりさんも精通している部分があると思うけれど、メディアの人間が持つ特有の腹黒さみたいなものを一切払拭する。つまり、本当に聞きたい、と思うことだけを率直に聞く。聞かれたくないことって、人間皆誰しもあります。たとえば、不祥事があった、製品のリコールがあったなど。そういったことについては「私は仕事上、どうしても伺わねばなりません」「そういうことも伺わざるをえません」といったんカメラを切って伺う。「答えたくなければ、答えないで下さい」とも言います。でも今、会社がそのことについて言及することは、方向性を打ち出す意味ではいいチャンスでもあるから「もしも言葉を選んでお話いただけるのであれば、是非お答えください」と。
「姑息な手法を使って聞く」もしくは「聞いたと仮定して、あとで勝手に想像で脚色する」などという方法は、一部のマスコミの常套手段ですが、よくないと思うので、聞きたいことを率直に聞くだけです。

佐々木

そうですね。自分が聞くことによって相手のプラスになるっていうところにずっと徹しているのが、良い取材ができる一番のポイントってことですね。つまり、こういう質問の方法があるとか、こういうスキルがあるっていううわべの話じゃなく、自分の内側をきれいにしなさい、志高く、いい仕事をしなさい、ということ。

小谷

「この方がそれを発言することによって、何がどう影響して、さらにそれが世の中にとってどういう良い結果をもたらすのか」っていうところまで考えたら、それ以上わざわざ相手が聞かれたくないことを聞く必要はないわけですよ。

佐々木

その通りです。

小谷

番組もしくは媒体にとってのメリットもどこにあるのかを考えたら、むしろ「聞かれたくないことを聞く」というのは、後のちネガディブにしか作用しないと思うんですよね。そう考えて仕事をしてます。シンプルです。

佐々木

でも、そこが強さなんでしょうね。

小谷

そうなのかしら。

佐々木

「強さ」っていう表現でいいのかわかりませんが、志というのか、自分が何のためにやっているかっていう、ミッションが明確なんですね。多くの、特に経済界のリーダーの方々とお会いになるわけですが、彼らは百戦錬磨でいろんな体験をしてきているから、人を見ても、どのぐらい腹を割っているかとかコミットメントがあるかも分かるわけだし。

小谷

それはそう。分かるでしょう。

佐々木

だから、上辺で繕わない取材姿勢が、日本を動かしているリーダー達には分かるんですね。


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