佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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野口聡一さん

宇宙飛行士


そこがコマンダーシップの面白いところ

佐々木

世の中には、家族というチームもあれば、会社というチームもあるし、様々な、大きな何百人ものチームもあるかもしれないし、3人のチームもあるかもしれなくて、いろんな人がいます。ですから、宇宙飛行士のように厳しい試験を経て選ばれた訓練された人たちではない人たちが雑多に入っているチームがいっぱいあるわけです。ですから、時々、「いいなあ、あんな選ばれた人たちばっかりでチームを作っていたら、さぞかし素晴らしいチームだろう」と思うんですが、トラブルや喧嘩などはないですか。

野口

さっき言った、問題点を把握して、状況判断をして、「こうすべきだ」というときに、やっぱり、それぞれに自己主張が強い人たちが集まっているのは確かですよね。

佐々木

すると、かなりargument(議論・口論)になる?

野口

そうですね。で、どこまで行っても平行線という場合もあります。それぞれに理不尽な解決策ではないけれども、でもやっぱり受け入れられない理由もあるわけじゃないですか。そういう意味では、コマンダー、リーダーの仕事っていうのは大事で、それでも、議論だけして終われないわけですよね。

佐々木

決めなきゃいけないから。

野口

で、実行しなきゃいけない。もっと言うと。

佐々木

決めるだけじゃなくて、心を一つにして全員がコミットし、行動しなければならない。それだけ強い人たちが、違う意見をもち、全然皆一つにならない、といったときに、リーダーっていうのは、どういうスキルなりアプローチを使って一つにするんですか?

野口

それはすごくコマンダーによりますね。まさに、そこがコマンダーシップの面白いところだと思います。2013年予定の長期滞在では若田さんが国際宇宙ステーションのコマンダーをやりますけど、若田さんも本当に優等生の、和の人ですから、だから本当に皆の意見を聞いて、ちゃんと理解したうえで、最大公約数になるところを選んで、他のメンバーを説得して回るタイプですね。でも、たとえばロシア人の伝統的なコマンダーに多いですけど、「俺の言うことを聞け。これは俺の船だ」というタイプもいます。でも、これは最終的にメンバーの命を預かっている、という強烈な自負心から、「俺が最終的に君達の命を守るためには、これが最適なんだ」というので決めちゃう、というスタイルもありますね。

佐々木

一方で、フォロワーとしては? 若田さんのような、和をもって進めていって、最後に「君、ここのところはこうだよ」と説得に来てくれたりして、「まあ、そこのところをよろしく」って言われて「しょうがないなあ」っていうアプローチをしてくれれば、もしかすると、まだ納得がいっても、もう一方の、もう「これだ!うるさい、黙ってついてこい」みたいなのになったときには、フォロワーの気持ちとしては、どうやって切り替えていくんですか? きっと野口さんも、切り替える経験があったわけですよね。


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