佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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佐藤尚之さん

コミュニケーション・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

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人間って完成しないというのが分かってきた時点で

佐々木

佐藤さんは毎日どうやって勉強しているんですか? アウトプットとインプットといったときに、お話を伺っていると、小学校、中学校、高校と、たくさん本も読んでいらして、ずいぶんインプットはしてきたんだろうな、と。それがきっと、今、じわじわと出ているんだろうとおもうんですが、今はどういうことを?

佐藤

頭脳の問題もあるのかもしれませんけど、インプットしたことって忘れちゃうじゃないですか。たぶん中学、高校では、相当いろんなことが分かっていたというか。でもドストエフスキーの粗筋すら覚えていなくて。粗筋すら覚えていないってことは、自分の身になっているかどうか分からないじゃないですか。だからインプットの限界っていうのはよく思う。というか、インプットだけやっていて、完成してから、「俺ってこうだよ」って人にアピールしても遅いというか。

人間って一生完成しないんだ、ということが分かってきた時点で、アウトプットに徹するようになりました。主に個人サイト上でのアウトプットですけどね。最初は、「おいしい店リスト」という自分が食べた店をアウトプットするコーナーとかですけど、アウトプットすると、必要性に応じてインプットが自然と増えるんです。しかもアウトプットを前提とした身になるインプット。そして、アウトプットすると他人からも情報が入ってくる。自分でも書くたびに調べたり、それがすごく身になるって分かって。 だから、今はインプットを目的としたインプットはしないですね。アウトプットをとにかく毎日する。そうするとインプットがついてくる。

佐々木

私は96年に日本で初めての女性向けポータルサイトを始め、私にとっては、ブログではなかったけど、色んな事を書いていましたし、その頃から連載コラムを新聞とか雑誌とかに出していただいて、当時は書きたいことがいっぱいあって、次々と書いてたんだけれど、最近言いたいことを皆言っちゃった感じがするときがあって。毎日、「何を書こう?」と。これは3年前に言ったかも、あれも5年前に書いたかも、というふうに思って、考えてしまうことがある。質問してもらえれば、「それはね」っていくらでもしゃべれる引き出しはあるんだけど、自ら欲してテーマを探すのも難しいときがあるんだけど、そういうことはないですか?

佐藤

ありますあります。僕も95年からサイトを始めていて、更新を毎日のようにずっとやってきていますけど、同じ感じです。きっと、こうやって老人は皆無口になるわけですよ(笑)。言いたいことは皆言っちゃったし、言っても伝わらないことも増えてきたし、という感じで。

佐々木

じゃあ、私は老人化現象だ。

佐藤

いや、なんというか、ちょっと微妙な話になってきましたね。そういう意味じゃないですからね。というか、僕、一回アウトプットをやめちゃうと、たぶんしなくなっちゃうと思います。「もう、面倒くさい」って。だから毎日出すって決めちゃって、習慣にして出し続けることにしていて、よかったかな、と。

佐々木

そこから産みの苦しみで……。


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