佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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佐藤尚之さん

コミュニケーション・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

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いつも朝やっていることがあって

佐々木

だから、自分自身がもう少し大きくなりたい、あるいは広く、優しくなろうというところでは、どんどん成長させていくけれど、コミュニケーションと自分の間っていうのは、個人も企業も、ギャップがどんどん狭まっていくというか、本来同じであるべき、ということですね。

佐藤

人柄がね。本来同じであるべき。そうならざるを得ないし、そうなるほうが自然だし、という方向に僕自身が行っているんでしょうね、きっと。

佐々木

学生時代とかに、ひらめいたこととか、親に教えられたっていうよりも、伺っていると、本当に歩みながら、感じて、見つけてきているからなんでしょうね。

佐藤

自分では、そういう感じはしますね。

佐々木

「あの一言でこうなった」みたいな感じはないのね。

佐藤

あまりないですね。でも、いつも朝やっていることがあって、「小鳥さん、今日なの?」っていうような言葉があるんですけど、要するに、「死ぬことを忘れない。今日がその日かもしれない」っていう話なんです。今日死ぬかもしれないっていうのを、ビルマの僧って、肩の辺に小鳥を乗っけて、話しかけたりするんですって。で、それにならって、もしかして今日が人生最後の日かもしれないっていう問いかけを毎朝するんです。「小鳥さん、今日なの? もしかして今日が最後の日なの?」っていうふうに。

佐々木

そういうことを天に向かって言っているわけね。

佐藤

寝起きにね。肩に鳥がいると想像して、ということをやった時期があって、多少、自分の人生に真剣になれたかもしれないです。

佐々木

そういう意味では、宗教的か心理学的に言うと、周囲を許すというか、今日が終わりなのだったら、怒ったってしょうがないし、受け入れる、と。

佐藤

でも、そんなに悟りはないですよ。そんな、じじいみたいな悟りじゃないですけれど。

佐々木

でも、そういうことでしょ?それを何歳ぐらいのときにやっていたんですか?

佐藤

あれを特に意識してやったのはいつだったかな。40歳ぐらいですね。だから10年ぐらいやってる。人を許すというよりも、今日が最後の日であるならば、今日は何をやろう、という話です。スティーブ・ジョブズは、毎朝鏡を見ながら「今日が最後の日だとすると、お前は今日やることを本当にやりたいか」って問いかけるらしいですが、そのようなことを自分でもやり始めてずいぶん変わったかもしれませんね。ある種の訓練的習慣ですね。

佐々木

自分のミッション、ですね。私は、最近のブログにも書いたんだけど、母を見ていて、そう思いました。彼女の人生って、ある日突然、変化が訪れた。できることの制限が出たり、記憶や理解の限界がきたり。私の人生にも、「何だ、昨日が終わりだったの?」ってくるのかもしれないと。

佐藤

怖いというか、そんなもんだ、と。で、死があまり怖くなくなったんです。

佐々木

母と話をしていても、本当は言いたいことがあったり、やりたいことが、あと1つ2つはあったんじゃないかと。聞きたいことかもしれないし、何かあったんじゃないかなってね。

佐藤

でも、それが急に来るのが人生ですよね。常に「途中」。常に途中で来る。要するに人生って完成するっていうことがないんです。それが自分の中で納得できた。途上でいいんだ、と。だから今が大切なんだ、と。進行途中で死ぬかもしれないけど、それが人生なんだ、と。それで楽になりましたけどね、僕は。

お母様が何か言いたいことがあったんだろうとか、あるとは思うけど、じゃあ時間がいっぱいあったら言えたかっていうと、そうでもないと思うんです。さっきも言ったけど、インプットが完成してからアウトプットするのは無理なので、ずっと未成熟なアウトプットが続くのが人生なんだろうと。「なんだ。じゃあ、未成熟でいいんじゃん」と思って、楽になりました。そうなってからですかね、表情が穏やかになったと言われるのは。

佐々木

すごく深いね。

佐藤

まったく深くないです。10年間、朝、それをやっただけ。でも楽になったのは確かですね。

佐々木

この続きは「さとなお」さんのブログとツイッターで、毎日皆さん読んでね、ということを、私は皆さんにお伝えしたいと思います。佐藤さんも、私も、毎日、成長しているし、その途上が面白いはずなので。……ということで、今日は、本当にありがとうございました。進化成長しながら、これからも、いっぱい話して、考えて、何か作っていきたいと思います。有難うございました。

対談を終えて

鳩山総理の時に「キョリチカ」(=「国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ」で一緒に仕事をしましたが、「さとなお」さんの愛称で親しまれている佐藤さんの近くに政治がやってきたことは、私から見ると、日本にとって、とてもいいこと。
広告の力を、今の時代のITや人々の気持ちと結びつけることの「効果」が、彼の頭の中で、心の中で、ひらめき始めているように思います。
その上、今回の対談で伺った、「ずっと進行中でいい。ずっと成長過程でいい」という発想は、この年代になってきたのに何も成し遂げていないのではないかと考えていた私に、とても有益なメッセージでした。
これからいろいろ一緒にプロジェクトをしていくことになると思いますし、たくさんのご指導をいただくことと思いますが、光栄です。そして、楽しみです。
対談、ありがとうございました!


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