佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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金重凱之さん

株式会社国際危機管理機構
代表取締役社長

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警察活動というのは国民とともにあるんです

佐々木

国際テロという視点で言えば、日本というポジションは、今日現在において、どのぐらい危ない状態にあるんですか。「9.11」の後、アメリカに行くと、スーツケースのチェックからボディチェックから大変厳しいですよね。子どもまで、一人一人、髪の毛まで立つような風の吹き出す検査ボックスに入れられて大変なチェックをいまだに受けていると思いますけど、そのわりに、日本に帰ってくると、随分日本の警備は甘いような気がします。昔よりは厳しいですが…。

金重

これはなかなか難しい問題ですね。結局、警察活動というのは国民とともにあるんですよ。テロ防止のために警備強化するということは、国民の皆様に仕事の上でも、社会生活の上でもご不便をおかけすることになるのですね。ですから、我々が気を付けなければならないのは、ちょっと強めの警備をやると、過剰警備という批判が来ることなんですよ。

で、どこまでの警備が許されるのかというのは、これは目的はテロ防止ということなんですが、国民の皆様のご理解とご協力が必要なんで、私は、ある程度の国民合意が必要になるんだと思います。合意の前提というのは、罪のない一般人が大量虐殺されるような危険なテロ事件が発生し再発の危険性が高いのか、発生しようとしているのか、発生の恐れがあるのか、そうでないのか、というところにかかってくるんです。

それは、アメリカ国内であれば、佐々木さんがおっしゃられるような空港での厳しいチェックをしてもいい、国民は、そこまでやっていい、という暗黙の合意があるということになるんです。

で、日本もアルカイダに名指しされているんですよ。だから日本は今も彼らのターゲットなんです。私は、いずれ日本で国際テロが起こるのではないかと心配しています。しかし、テロなどの犯罪は、その国の治安環境に大きく影響されると思っています。ですから国内の治安を維持することで、そうしたテロを許さないということが大切ですね。そんなことを含む、日本の治安環境は、アメリカのような警備強化を許容するほど高いとは考えられないということではないでしょうか。

佐々木

本当は、警察の視点では、日本だって名指しされているし、世界の状況を見れば、本当はたとえば警戒レベルを上げたいけれども、国民の世論というか、メディアを含めた皆の意識が中ぐらいだと、高いレベルでの警戒には抵抗なり批判が強すぎて、かえって協力も得られないので、その中間にしておこう、みたいなことをやるしかないっていうことなんでしょうか。

金重

日本における現実の脅威を警察がどう評価し、国民の皆様にそれをどう理解してもらうか、その調和点を常に探っている、そして何よりも国内の治安レベルを高く維持することではないでしょうか。

佐々木

金重さんから見ると、実際の今の日本国の、どこの視点をとって警備というか分かりませんが、ちょっと緩いなって感じですか?

金重

まだ起こっていない国際テロについて、「起こるぞ、起こるぞ」と言うとオオカミ少年と言われてしまいそうで、なかなか受け入れられにくいですね。だから、「東日本大震災」が起こったあとに、「首都直下地震」「東海地震」「南海地震」の発生の切迫性が高まってきた、と言うと、「そうかもしれないな」と思われるでしょうが、そういう現実の脅威が発生していないと、「いや、そんなものは」とどうしても思われてしまう。
しかし、思い出していただきたいのですが、過去には、「よど号ハイジャック事件」や日本赤軍による「テルアビブ空港乱射事件」をはじめ、たくさんのテロ事件が発生しているんですね。
常に、油断をしない警察の努力と国民の皆さまのご理解、ご協力が大切ですね。


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