佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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金重凱之さん

株式会社国際危機管理機構
代表取締役社長

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民間企業の方々との“橋渡し”をすることが大事

佐々木

今の日本の中でこれから金重さんがやっていかれたいこととか、啓蒙したいことは、何ですか。

金重

啓蒙するというほど大げさな気持ちは持っていませんが、たまたま警察という仕事をベースにして危機管理の仕事をやってきて、そして退官して引き続き危機管理の仕事をしているということですから、社会の安全・安心に関わる仕事をこれからもやっていこうという気持ちは持っています。

警察力が今後日本国内でどれほど強化されていくかというと、ある程度、限界があると思うんですね。国民の税金でもって警察活動は成立しているのですから治安が悪くなったからはいお巡りさんを増やしましょうって、そう簡単にはいきません。

そうすると、核になるプロ集団の現役の警察官の人たちが活躍する、その周囲に我々みたいな危機管理を仕事とする警察OBがいて警察活動の補完的な仕事をする、私1人じゃなくて何人もそういう人たちが出てきて、民間企業の方々との“橋渡し”をすることが大事ではないかな、と思います。

“橋渡し”っていう意味は、民間企業の方々が、警察に行くと相談内容によっては時間がかかることがありますよね。その時間は、企業にとっても、警察にとってももったいないですよね。本当はもっと事前に整理・整頓ができればいいんじゃないでしょうか。つまり、企業の安全対策について私達が事前に問題点などを整理しておくと現役の警察の人たちは、やるべき仕事に集中できるのではないでしょうか。

佐々木

現役の現場の人たちに最適に機能してもらうために、OBの方や専門の方が、その前段階で一度相談を聞いたり、そこで防げるものは防いだりすると。

金重

しかも、民間の人にとっても、無駄はない。わざわざ何時間もかけて、警察で話を聞いてもらっても、公益性の観点や具体的危険性の観点から警察で全面的に対処できる問題ではないということが分かったとか、もったいないですね。警察で扱うためには、いろんな準備を進めておくと時間的にスムーズな展開が期待できますね。前さばきができれば、そのためのいろいろなアドバイスができるわけです。

佐々木

今、救急車の最適活用のために、119番を呼んでいいかどうかで迷ったら、まず7119番にかける、という仕組みが出来ましたが、そういう意味での、警察の110番の前に連絡するべきところっていうような位置づけですね。それも、もう少し事前の危機管理を含める。

金重

うーん、ちょっと違うのですが、警察でも、#9110で消防と同じようなことをやっています。私に会社の場合は、緊急にパトカーを呼んでいいかどうかという相談ではなく、むしろ企業の内部統制です。企業を取り巻くリスク・危機に対して、どう対処するかというリスク管理、危機管理です。たとえば、BCP(事業継続計画)など震災対策もその1つですね。

できるだけ私のような会社がたくさん出てきたほうがいいと思うんです。先例はありますよ。警備保障会社はまさにそういう歴史だったんです。元々、警備というのは、お巡りさんが制服を着て警備しますけど、一民間企業のための警備はやりませんね。でも、民間企業でも、爆弾テロに遭ったり、立てこもり事件やガソリンをまかれたり、反社会的勢力がやってきたり、株主総会で騒いだり、いろいろな事件があるわけですね。警察がすべての企業に張り付くことはできませんから、警備保障会社のような存在があって、対応するという仕組みですね。アメリカから始まりましたが、企業の安全対策に従事する事業分野ができあがってきた。警備保障会社は、今や当たり前になっていますけど、我々の仕事も、それと同じことだと思っています。


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