働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3292 開催期間 2014年05月09日- 05月16日
はじめまして。日本総合研究所理事でエコノミストの翁百合です。この「働く人の円卓会議」で皆様とのディスカッションを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。 4月中旬、安倍総理が「困難な病気と闘う患者さんが未承認の医薬品等を迅速に使用できるように、保険外併用療養費制度の仕組みを大きく変えるための制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてもらいたい」と発言されました。私は、安倍総理に任命され、内閣府「規制改革会議」の委員として医療分野を担当しております。そこで、今日から1週間、保険外診療について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 風邪や骨折でお医者さんにかかると、私たちが納付してきた保険料から治療費、薬代の大半が給付されます。そうした保険給付の対象となっている診療を「保険診療」といいますが、日本の医療制度は、必要かつ適切な医療については安心してどこでも一定の負担で受けられる、世界に誇る「国民皆保険制度」となっています。 他方、重度な病気にかかって先進医療技術を受けたいと希望するときや海外で認められている新しい薬や検査法などを希望すると、保険の対象となっていない場合があります。こうした保険給付の対象となっていない診療を「保険外診療」といいます。保険外診療としては、例えば海外で使われているが日本で未承認の医薬品(抗がん剤など)、高度なロボット手術などがあげられますが、これらの治療は全額自己負担になります。 今の日本の医療保険制度では、このような保険外診療を保険診療と併せて受けると、保険外診療だけでなく、それまでに受けた保険診療(本来保険が適用される治療や検査・入院など)までも全額自己負担になってしまいます。 なぜ、保険外診療を一緒に受けると保険診療分も自己負担になるのか。この理由について厚生労働省は、「国民から集めた税金や保険料で賄うため、併用すること自体の安全性と有効性が確認できない医療には保険制度からは給付はできない」、また、「(保険外診療に付随する検査・入院等は)安全性・有効性が確認されていない医療行為に起因する給付であることから、保険から給付することは困難」としています。 しかし、こうした制度のもとでは、患者さんがそれまで保険診療を受けていた病院で保険外診療を希望しても断られたり、別の病院を受診するように勧められたりすることになってしまいます。、患者さんの中には、希望していた保険外診療を受けることをあきらめたりする人もいると聞きます。 8年前の平成18年、総理が発言された「保険外併用療養費制度」という制度が作られました。舌をかみそうな名前ですよね。これについて次回詳しく説明しますが、この制度で定められた範囲の診療は、保険外診療ですが、例外的に保険診療との併用が認められている療養であり、これらの保険外診療を受けても、一緒に受けた保険診療分については保険が給付されるようになりました。 この制度で併用が認められる診療には2種類あって、差額ベッド代、セラミック歯など、快適性などにかかる「選定診療」とよばれているものと、「評価療養」とよばれる、保険診療になる可能性の高い先進医療(96種類)などが含まれます。 まず皆さんにうかがいたいと思います。皆さんは、保険外診療を受けた場合、一緒に受けた保険診療も自己負担になる現在の医療制度について、ご存知でしたか。またこうした制度についてどのような感想を持たれますか。ご自身、または家族や友人の方の病気などで直面されたことや、疑問に感じたことがありましたら教えていただき、ご意見を聞かせてください。 保険外診療を一緒に受けると保険診療分も自己負担。変だと思いませんか?変だと思う方はYES、変だと思わない方はNOの投票をしていただいたうえで、イー・ウーマン「働く人の円卓会議」の投稿ルールに従ってI statementで投稿してください。 *お知らせ:私たち内閣府「規制改革会議」は、2014年6月13日、ここで議論していた内容をかなりの程度反映した[患者申出療養制度(仮称)] を安倍総理に答申しました。
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