働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3354 開催期間 2015年07月17日- 07月24日
みなさん、ご意見をありがとうございます。ご存じなかった方も、知りたいと言っていただけて嬉しく思います。 私が思うフィンランドの子育てのいいところとして、以下の2つを挙げたいと思います。 1)手厚い支援のおかげで、子どもを持つことに経済的な不安がないこと。金銭的な理由で子どもが持てないということはありません。 2)男女の強い平等の価値観と分担によって、両者が共に仕事とプライベートの両立ができています。 Walk714さんのおっしゃる通り、フィンランド政府は子育て家族を様々な形で支援していますが、これらは、親の収入や入籍の有無に関わらず子どもを持つ全ての家族に平等です。これにより家族が安心して子育てと向き合うことができます。日本でも現在ネウボラや育児パッケージの導入など、安心して子どもを生み育てる環境づくりが始まっていることは喜ばしいですね。 経済的な不安として日本で大きいのは教育費だと思いますが、フィンランドでは小学校から博士課程まで全ての教育費が無料です。また、にしひがしさんのご意見にもありましたが、フィンランド人は学校や先生を信頼しています。ただ、子育てはやはり学校と家庭の協力あってこそ。家庭の責任はより大きいと感じています。 レッズさんのおっしゃる通り、日本の子育てにもいい部分がたくさんあります。例えば、日本は子どもが1人で登校できるほど安全な国だということ。礼儀正しく、周りへの気遣いができる子ども多いです。そこにフィンランドの良さを付け加えるとすると、男性が大きな役割を担っている子育て文化を挙げたいと思います。父親がより密接に関わることは、子どもの世界観の発達には非常に大切だと思います。たぶん日本とフィンランドの良さを足したら、最強になるのではないでしょうか。 また、子育てには精神的なサポートも重要です。かとのりさんはもうすぐご出産とのこと。きっと妊娠中や第一子出産直後に喜びと共に様々な不安や疑問を経験されてきたと思います。そんなときに、フィンランドではネウボラという気軽に相談し、サポートをもらえる場所があり、1人ではないよと教えられます。また、妊娠期から男性パートナーもネウボラに行くことで、女性の心や体で起きていることをより身近に感じ理解することができます。 香月さんが質問された政策の背景ですが、フィンランドは第二次世界大戦後、労働力不足に陥り、女性の社会進出と出生率を上げることが急務でした。しかし女性の社会進出が進むと出生率は下がり、一時期1.5まで下がりました。そこで1973年に自治体への十分な数の保育園設置を義務付ける保育園法が成立し、80年代には最長3年の育児休暇とその後の職場復帰を認める法律ができ、同じころ父親休暇制度も始まりました。 このように制度が整っていくことで、より女性が子どもを欲しいと思えるようになっていったと思います。昨今は、女性が望んだ場合に3年より早く休暇を切り上げて職場復帰をしやすいよう、男性の育児休暇を強く奨励しています。その根底には、子どもはすぐに預けるのではなく、小さなうちは、できるだけどちらかの親が家で共に過ごす方がいい、という考えがあります。 あきんぼさんの視点も重要ですね。フィンランドでは夫婦に子どもがいなくとも、特に肩身の狭い思いをすることはありません。ただ、不妊はやはり大きな問題になりつつあります。結婚年齢や子作りを始める年齢が上がっていること、多少の補助金があっても不妊治療は高額なことが原因にあるでしょう。フィンランドでは養子という選択肢をとる夫婦も増えており、たいがい養子はアジアなどの海外から迎えます。 Gomagoma, NOBU, 本の虫さんのように、今回はじめて聞いて興味を持った方がたくさんいると思います。職場での支援でいえば、フィンランドでは女性も男性と同じように仕事をします。男女共に通常9-17時勤務で残業はしないため、女性だけでなく男性にも家事や子育ての時間が同じだけあるのです。 私は、女性の活躍や子育てを阻む日本の最大の課題は、長時間労働にあると思います。長時間労働がおこなわれている場合、男性にとって家事や育児への参加は難しくなり、そのしわ寄せが女性にいくことで、女性がフルタイムで仕事ができない状況に陥ってしまいます。IMFの調査では、フルタイムで働いている女性ほど、子どもを多く持つ傾向があるそうです。大切なのは、男性でも女性でも、仕事とプライベートで自分らしくいられることだと思います。 他には、育児休暇中社員の代理を雇用する際、3年間の契約を結ぶことが多くなっています。また、父親休暇の取得率は8%、取得することに職場や同僚は好意的です。それだけ父親休暇が当たり前になっているのですが、制度ができたばかりの80年代には、制度への批判も多かったのは事実です。フィンランドでも制度が浸透するまでには、何年もかかっているのです。 今までお話ししたなかで、日本にも導入した方がいいもの、必要な支援はありますか? ご意見を聞かせてください。★ミッコ・コイヴマー議長の著書をご紹介します。『フィンランド流イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』(かまくら春秋社)★ミッコ・コイヴマー議長は第20回国際女性ビジネス会議(7/26開催)に登壇されます。
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.