佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

147

須藤政子さん

株式会社ソシエ・ワールド 代表取締役社長

講演依頼について問い合わせをする

私、2回脱走してるんですよ

佐々木

18歳の生意気な女の子が、自分の決めた道だからと、もしかして親から言われたら、やらなかったかもしれないことを素直にやりながら、頑張った、ということですね。

須藤

たぶん意地でしょうか。でも実は3年間の間、私、2回脱走してるんです。

佐々木

え、脱走! 須藤社長のことを好きな理由が分かってきたな。

須藤

とにかく他人の家に住むというのが初めてでしたし、先輩達の洗濯、掃除、食事の支度、全部しなくちゃいけないんです。

佐々木

同期は何人?

須藤

2人。もう1人は男の子だったんです。結果的に朝起きると、パターンが決まってるわけですよ。掃除をして、ご飯を作って。朝ご飯を作っているうちに、もう昼ご飯になるわけですから。3食、私たちが作るわけです。そんなこと、家ではやったことがなくて。大変なところへ来ちゃったって思いました。

でも1年間は我慢しました。頑張んなきゃって。でも2年目になって、お盆で帰省したとき、お店に帰るって言って、帰らなかったんですよ。で、大騒ぎになり、結局は一番上の兄に連れられて、頭を下げて、すみませんでしたって。それを2回やりました。

佐々木

でも2年目に国家試験に受かった、ということでしたよね。

須藤

そう。受かりました。お客様にもすごくお世話になりました。国家試験のときって、自分でカットモデルになってくれる人を探さなくてはならないんですが、外科のお医者さんが、僕がモデルになってあげるって言ってくださったんです。夜勤明けでお休みだからって。でもそのお客様ってその3カ月ぐらい前に、技術に不慣れな私が耳を切っちゃった方だったんです。それなのにモデルになってくれるって、嬉しかったですね。

おかげで、国家試験に合格しました。たぶん、私は、こういう商売に向いていたようで、お客さんがすごく可愛がってくれたんです。手に職をつけるということは、手に職をつけるだけでなく、人間性を育ててくれたのだと思います。お客様に対して、どうすると喜んでいただけるとか、お客様から教えてもらえることが、すごくいっぱい有りました。あの3年間の住み込みがなかったら、たぶん今の私はいなかったと思います。それほど貴重な体験でした。


  • 4 / 21

バックナンバー

過去の一覧

ページの先頭へ