佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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野田聖子さん

衆議院議員


ダメが前提の不妊治療の法律を作ろうとしていたので、ちょっと待ってくれと

佐々木

不妊治療はご自身が体験したので、たくさん法律の壁を体験しているのでしょう?

野田

そもそも法律はない。

佐々木

ない?

野田

数年前に、厚生労働省が法律を作ろうとしたんだけど、私はそれを体を張って反対したの。理由は、卵子提供もダメ、代理母もダメ、ダメが前提の不妊治療の法律を作ろうとしていたので、ちょっと待ってくれと。不妊治療は患者本位であるべきだし、家族をつくるのは行政じゃなくて個人だから。個人が代理母であれ、卵子提供であれ、ちゃんと自己責任で選択し、家族を築けるという、そこをこれから強くしていきたいと。行政がこの枠の中ならいいですよという家族の形には限界が来ているんじゃないかなと思う。

これから考えなくてはいけないのは、この分野において法律が必要かどうか。不妊治療の中の1つに精子提供というのがあるんですよ。これは戦後から法律を作らなくても、バンバンできてる。

佐々木

1948年からあるって。

野田

そう。最初は戦争で兵隊さんとして行く男の人が機能不全で、子どもがつくれなくなったので、お国のためだからということで始めて、それが堂々と問題なくやられていて。途中で卵子提供の話が出たときには、女性の問題だから、嫁を変えればいいという話になった。大黒柱は男だから、差し替えがきかない。

佐々木

大黒柱、という考えも、おかしい。

野田

なおかつ問題なのは隠すことでしょ、よそからもらったということを。だから今、出自の問題でもめている。卵子に問題があるなら、嫁を変えればいい、若い嫁さんをもらえばいいという発想でずっときた。

佐々木

精子提供は48年から大丈夫なのに、卵子提供は全然できないというところに男女差別があるという。

野田

見え見えだよね。卵子提供がダメな理由に「リスクがある」と。精子は出すだけだからノーリスク。でも卵子は薬とかで排卵誘発を打ってもらったり、採卵するときに、針で取るから、リスクがあるのは当然。でも30年前、10年前に比べたら、遥かに不妊治療の技術は高くなっているわけだし、日本は世界のトップ3ぐらいに入っているわけだから、確かに蓋はあるけど、それが原因でできないというのは通用しない。

佐々木

ほかの病気を治す治療だって、同じようなリスクのある手術はいっぱいあるものね。

野田

副作用とかもね。でもそういう言い訳は通じないんだけど、まだできない。それに卵子提供や、代理出産の先には戸籍の問題がある。日本は分娩主義という考え方を取っているから。

佐々木

母親を決める問題。


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