佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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野口聡一さん

宇宙飛行士


「わあ、すごい。巨大な天体だ」

野口

すぐには感じないですね。すぐは、もう、ともかく、「わあ、すごい。巨大な天体だ」と。

佐々木

巨大に見えるんですか?

野口

そうですね。で、同時に、すごくリアルな天体だ、と。それが、まさに触ると手が届きそう、というぐらいの。

佐々木

自分はちっぽけな存在だな、という恐怖から、でもやっぱり一対一で自分も同じじゃないか、と思ったり、いろんなことを感じ始めるまでには、どのぐらいの時間がかかったのでしょう。

野口

少なくとも、1回目の船外活動は6時間半ぐらいなんですけど、1回目の船外活動が終わる頃には、自分も地球と同じように回っている、浮かんでいる存在である、というのは感じましたね。

佐々木

ということは、6時間の業務って、本当に厳しい環境で、動きの鈍い、というと変ですけど、グローブをしながらなのにも関わらず、でも何ミリ単位の仕事をされていたりするわけですよね。そういうものを6時間集中して終了した、自分の達成感とか、「できるじゃないか、俺」みたいな、与えられたミッションを完了したという自信と、また同時に、6時間宇宙空間にステイしていた安心感というか体験が、自分も一つの地球と同じだ、というふうに感じさせていくことなんでしょうか?

野口

今仰られたような達成感って、実は2回目の終わりにすごく感じて、1回目はそういう意味では、まだ余裕がなかったんですね。もう「ともかく終わった」という感じで、へとへとになって帰ってきたというのが1回目の実態で。船外活動って2人組でやるんですけど、私とアメリカ人のスティーブ・ロビンソンと2人でやったんですけど、2人とも1回目は終わったときには無言というか、「もう疲れた。とりあえず休む」みたいな感じでした。

だけど2回目は、僕も彼も非常に高揚していて、今日はうまくいったというか、「本当に俺たち、訓練してきてよかったよね」っていう、全てが想定どおりというか、想定していない形のこともあったけれども、自分たちで「こうなったら、こうしよう」と言っていたとおりのことができた、という達成感と、まさに「この仕事をやっていてよかったぜ」みたいな感じは、2回目に、2人とも感じたんですよね。そこはすごく明確に覚えています。

佐々木

やっぱり、慣れてきて。

野口

慣れはありますね。仰るとおりです。

佐々木

少しエンジョイというと、言い過ぎなのか、わからないですけれども、宇宙空間の中での自分の位置づけみたいなものも少し考える余裕が出てくるんでしょうか。

野口

第三者的に見られていましたね。それはありました。


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