佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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野口聡一さん

宇宙飛行士


それがフォロワーシップだと思います

野口

まさに仰られたのは、課題が出たときに、まずブレーンストーミングの段階がまずありますよね、いずれにしても。で、課題が何か、共通の問題は何か、何が問題かという認識を持つのがまず第一段階だとして、その次に、必要な状況判断があるわけじゃないですか。冷静なsituational awareness(状況認識)がないと、方向を見間違えるわけで、そこの状況判断のところで、各人が、それぞれに与えられた分野で必要な情報を出してくる、と。それは結局、担当が違ったりするわけですよね。たとえばある人は前を見る、ある人は横を見る、ある人は後ろを見る、ある人は自分の中の持っているリソースの確認をする、と。で、それぞれの情報を持ち寄ってきて、その後に、problem solving(問題解決)というか、問題が分かって、状況が分かったところで、じゃあ何をすべきか、と。

で、自然に、もう、そこだけを見たら、これしかないね、と皆が思うようなものがふっと出てくる幸福な場合もありますけど、そうじゃない場合に、逆に、そこで自分がどう思うかっていうのをちゃんと提示できるっていうのが、チームメンバーへの最低限の要求だと思います。

佐々木

それは、フォロワーシップの一つですか。

野口

それ以前ですね。チームメンバーであることの条件ですよね。それはリーダーも含めてですけどね。

それに対して、こういう状況で、自分がどういう解決策を出せるか、どれが妥当だと思うか、というのを出す、と。で、その中に、それぞれのバックグラウンドが効いてくるわけですよね。お医者さんもいれば、エンジニアもいれば、パイロットもいる。日本人もいれば、アメリカ人もいれば……。で、僕は日本人のエンジニアの観点で、こういう問題に対して、こういう状況判断になったときには、こういう解(かい)がいいと思う、というのを出すわけじゃないですか。で、別の人は、別のバックグラウンドから、違う解が出てくる。で、それぞれの意見を聞く中で、コンセンサスを得るように、やっぱりそれは自然に動くと思うんですよね。

だけれども、それでも完全なコンセンサスに至らないときに、リーダーが、今度はチーム全体の状況を見て、決めないといけない。ともかく決めないと進めないわけですよね。そこをリーダーが決める。リーダーの仕事は決断することとその決断に責任を持つこと。で、フォロワーの仕事はリーダーがチームとして決めた方針に従って動くこと。とてもシンプルなんです。

佐々木

成功するように一つのチームとして動く。

野口

それがフォロワーシップだと思います。


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