あともう1つは、就任している年数による独立性の問題です。実際問題、社外取締役としてフレッシュな気持ちで入られても、年数がたつにつれて会社の事情が分かってきて、マインドが社内化してしまうことがあり得ます。情も入ってしまう。そうなったら社外取締役として身を引くべき時かもしれませんね。実際に諸外国ではルールがあります。イギリスでは9年目からは独立性が認められないとか、フランスでは12年だったと思います。
アメリカで行われている女性エグゼクティブの会議がありまして、年に1回、私は出席しているんですね。フォーチュン誌主催の会議なのですが、そこでも最近は、役員会をテーマにした分科会があります。そこでは彼らは、1社にて8年~10年ぐらいが適正だと。3、4年やったところで、委員会を持つようにして、そこでやりながら、8年ぐらいからが一番貢献できるのではないかと言ってました。私からすると、ちょっと長くないかなって思ったんですけれども、日本はどうなんでしょう。
たぶん日本の取締役会とアメリカの取締役会の性格が違うことに関係があるのかもしれません。まずアメリカでは取締役会の回数は日本と比べて少ないです。少なくとも、日本のように毎月行う会社はほとんどない。
取締役会の回数ですか。
はい。あともう1つは、取締役会で扱う内容が違っていて、アメリカでは基本的な経営方針の決定というか承認、取締役の人事や報酬、監査といった経営の監督に重点が置かれています。それに対して、日本の取締役会にはかなり細かな案件がかけられている会社が多いように思います。こうした違いがあるので、アメリカのような取締役会だったら8年以上やってもいいかなという気がしますよね。
日本については、僕もいろいろな会社から聞かれるのですが、接点を持っている社外取締役の方々から実感を聞くと、6年ぐらいが適当という意見が多くて、10年は少し長いねという感じです。ただ日本の場合は、社外取締役に就任する年齢が高いです。アメリカの場合は、経営者になる年齢も若いし、社外取締役になる年齢も若い。そこも少し違うのかもしれませんね。
どのぐらい違いますか。
最近では少し若返ってきていますが、日本のエスタブリッシュカンパニーのトップに就任される年齢は60歳過ぎが多いのではないでしょうか。そこから社外取締役になられると、どうしても65歳とかになっちゃいますね。