佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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富永誠一さん

特定非営利活動法人 全国社外取締役ネットワーク 事務局

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団体名が変わります

佐々木

今日は、お話しされたかったこと、すべて話していただけましたか。

富永

一番話したかったのは、女性が社外取締役に向いているということだったのですが、それは既にお話しました。

やはり独立した立場の社外取締役をいかに増やしていくかが日本の企業社会で大きな課題だと思っています。海外ではすでに独立した立場の社外取締役の導入が義務化されていますが、日本では任意です。監督者である社外取締役を受け入れるか否かを、監督される立場の経営者の判断に委ねているところがある。これでは、社外取締役を受け入れていこうという雰囲気が醸成されてくるいまで時間がかかります。

取締役が内部関係者で固められていることのリスクについて先ほどお話ししましたが、やはりこういったことはルール化していく必要がある。会社法や証券取引所規則で、経営者から独立した社外取締役の導入を義務付けることを、本気で考えなければいけない時期に来ていると思うんです。やっぱり自分で自分を監視なんでできないですから。

上場会社で経営者から独立した社外取締役を受け入れるかどうかは、日本をオープンにできるかどうかの試金石だと思うんです。ルール化もそうですが、ルールされる前にも率先して、この制度を会社経営の中に取り込んでいってほしい。重要なのは、社内じゃダメで独立ということ、その独立な社外取締役を経営者が自分で選んでいいのか、ということです。企業不祥事が発生してからでは遅いんです。

最後に一つ、大切なことがあります。全国社外取締役ネットワークという団体名が変わります。今、コーポレート・ガバナンスの団体がいくつかあるんですけど、2012年の1月を目途に、そのうちの3つが合併します。経済のグローバル化が進んで、これからますますコーポレート・ガバナンスが注目されてくると思います。僕たちのNPO法人である「社外ネット」が存続団体で、代表者の田村さんも事務局長の僕も変わりませんので、独立した社外取締役の重要性は引き続き訴えていきますが、コーポレート・ガバナンス全体を取り上げていく団体を指向して、「日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク」という名称に変更することで準備を進めています。

ただ、「社外ネット」という呼び名は経済社会ではそれなりに浸透しているので、そこは主力事業として残します。だから「社外取締役」や「独立社外取締役」「独立取締役」で検索でヒットする仕組みをつくりながら、ガバナンス全体を訴えていって底上げに貢献したい。社外取締役だけの問題を取り上げていくと、社外取締役を毛嫌いしている人もいるし、自分は取締役じゃないからといって遠慮していた人もいると思うんです。団体名で少し損をしてきたところがあるのですが、団体名が変わることをチャンスに変えていきたいと思いますね。新団体では、ガバナンスに関心を寄せる方を幅広く集いたいので、一度活動をのぞいてほしいと思います。

特に女性は歓迎です。いまは女性の会員は全体の1割程度ですが、これを契機にもっと増えればと思っています。なんといっても、女性の取締役を増やしていくことは重要ですので。

佐々木

ガバナンスというふうにした方、確かに、これからの企業にも参加していただけそうですね。そうすると、余計に、今日のお話がつながってきました。私たちイー・ウーマンが仕事としているダイバーシティとか、消費者、生活者と企業の関係といったところで何か貢献出来そうです。

富永

僕たちが存続団体となるという責任もありますけど、三団体が一緒になって、新たな名称となることで、新たな知が、人が加わりますから、その人たちの力を借りながら、発言力を強めるようにしていきたいと思っています。ガバナンス抜きで日本経済が復活するとは思いません。

佐々木

やはり取締役への研修が日本は圧倒的に弱いと思っているんです。

富永

あったとしても、取締役としての法律研修とかね。本格的な研修はまだまだのように感じます。

佐々木

そうなんです。だから増やしたい。海外だと取締役の人たちに外部のトレーナーがついていて、1泊2日でいろいろなトレーニングをやるということは日常であり、役員になるまでも多々、その機会があります。双方向の体験型の研修です。イー・ウーマンで、そういった研修を提供しているのですが、最近少しずつ、採用する企業が増えてきている気がしますが、もっと広げたいですね。

富永

トレーニング慣れしていないというのもあるかもしれませんね。社外ネットでは、コーポレート・ガバナンスの講座は持っていますが、ワークショップ的なところまではまだ踏み込めていません。もともと社外取締役のための情報共有の場というところからスタートしているので、相互学習はできていると思いますが。

佐々木

将来、ご一緒できるのか分からないけれど、知識の教育としていただいた後に、私たちがワークショップを提供することができそうです。

富永

僕もアメリカのガバナンス教育のプログラムを研究してみましたが、泊り込みでやっているケースが随分ありました。双方向型のワークショップを交えて集中的にやった方が効果が高まるのかもしれません。あと言えることは、やはり気づきは必要。取締役になる方々は能力の高い人たちなので、そういうトレーニングが気づきのきっかけになりますね。社外取締役にそれができれば、今度は社長さんに気づきを与えられることができるかもしれません。

佐々木

そうですね。だからきっと課長、部長から、そういったトレーニングを増やしていくと、その方々が取締役になった時、ガバナンスも変わってくると思います。


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