佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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富永誠一さん

特定非営利活動法人 全国社外取締役ネットワーク 事務局

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投資家がかなり強く見ます

富永

日本は経済力がある国なのに、コーポレート・ガバナンスがしっかりしていないから、投資家に配慮した国であることを示せていないんです。すぐにキャピタルフライトが起こるとは思いませんが、資本は成長力のある国に移動するのは当然です。彼らにとってわかりやすい形で興味を引きつけるためにはガバナンスの向上が重要です。彼らにとってガバナンスは当たり前のことですが、日本が変わるという姿勢を示すことができる。

佐々木

少なくとも、どんな取り組みをしているとかね。こういうプランがあるとか。

富永

海外投資家に媚びる必要はないでしょうが、実際に、株価を形成しているのは彼らだし、取引量が圧倒的に多いので、彼らの信頼される体制づくりが求められる。日本のガバナンス改革、特に、社外取締役を中心とした取締役会改革は、制度面でここ10年大きな変化を生み出せていません。これは株主に対して誠実な姿勢を示せていないことにもなる。あまり時間がかかると、やはり株主が出て行ってしまう、そして戻ってこないという心配がすごくありますよね。外国人が買ってくれないと、株価がどんどん落ちてしまうから、海外からの買収の対象になります。欧米の国でなく、新興国から買われてしまう大企業が出てくる可能性すらある。それぐらいコーポレート・ガバナンスというのは日本経済にとって大きな問題です。何度も言いますが、ガバナンスは社外取締役だけの問題ではありませんが、そこを投資家がかなり強く見ます。

佐々木

見ますよね。今、株主総会でも、海外の機関投資家だけでなく、一般の株主からも、「何で壇上に女性がいないんですか?」と。

富永

それはどんどん言ってほしいですね。イー・ウーマンのサイトを見られている中にも個人株主は男女に限らずいっぱいいると思うんですけど、壇上に上がっている取締役がシニアで全員男性、従業員出身者という会社が多いでしょう。そこで、女性がいるか、社外取締役がいるか見てほしいんです。「ダイバーシティ、コーポレート・ガバナンスの問題に取り組んでほしい」と声高に言ってほしい。コーポレート・ガバナンス、特に取締役会の構成は、個人株主が自分の資産を預けている会社が正しく運営されているかどうかを図る指標だと言えますので、株主の立場として重要です。

佐々木

すでに3人の経営者から「株主総会で株主から、女性はなぜいないのか」って聞かれたから、誰か紹介してくれないかなど、ご相談がありましたよ。だから、株主の発言、意味があるんです。

富永

株主からそういった声があがると、経営者の皆さんは、すごく真摯に受け止めていただけます。株主総会で企業経営の細かい話は分からなくても、取締役に女性がいないのはどういうことなのか、少なくとも男性も含め、社外取締役が一人もいないのはおかしいという意見が出てくると大きいですよね。それが結局、ダイバーシティやコーポレート・ガバナンスの改善の大きな流れになっていくし、そういったところをきっかけに企業も変わっていくと思います。株主総会でこうした素朴な質問することは、株主の大きな権利というか責任なのかもしれません。これも外部からのプレッシャーっていうのかな。これも株主からの気づきですよね。

佐々木

外圧が気づきの原因になったりします。

富永

どんどんやっていくべきだと思いますね、恥ずかしがらずに。日本企業は高い潜在能力をもっている。その可能性を開花させるのは、個人株主の力なのかもしれません。

佐々木

たくさんお話続けたいですが、後は、日々ご指導もいただきたいと思います。また、継続して、円卓会議などにもご登場いただき、社外取締役の事、ガバナンスの事、学習し続けたいと思います。今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。


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