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世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター
実はそのことは、世界経済フォーラムの次のステップでもあるのです。私は、2011年、日本に1日半滞在したことだけで、「日本には大きな男女格差が存在する」と気づきました。体感しました。ですから大企業の男性のCEOも、政治家もこのことに気づいているはずです。つまり男女格差の存在はだれもが認める事実であり、急速な高齢化のために早急に男女格差を是正する必要があるというのは、今や共通認識になっていると思います。
次のステップは、佐々木さんが今ご指摘されたように、国の経済力の維持とアップのためには、どうしても男女格差を早急に解消する必要があると、ビジネスリーダーに気づかせることです。そしてその活動のリーダーシップをだれが取るかがまた問題になります。
政府で働いた私の経験から言うと、日本政府は女性の社会進出のためにいろんな支援策をすでに出しています。ただしすべては支援策であり、罰則がついていないために、履行しない企業がたくさんあるのです。
だから私は、新規企業を立ち上げる場合には、従業員の4割以上が女性でなければ営業免許を与えないとするノルウェーのような「クォータ制」の導入を強く求めます。ただし日本政府がそのような措置を取ることは難しいと思いますけどね。
私も、大臣らに意見を求められた時、女性支援をするための施策を増やして女性に働きやすくしてもらうことより、これから重要なことは男性トップが女性を受け入れる仕組みをつくること。つまり男性の意識やライフスタイル、価値観を変えることだと言ってきています。クオータ制も、期間限定で実施することを望むと伝えました。
男女機会均等法が施行されたのは1986年ですが、この法律にしても罰則規定がない努力目標でしかありません。現状は、今も名称を変えて男女差がある雇用が存在しています。
ただ以前低い位置にあって多くの女性がぶつかって苦しんだガラスの天井が、今は、高い位置に移動しました。そのために女性たちが日常ではあまり気づかない。いままでより厚いガラスの天井は、しかしながら上の方に存在しているから、結局女性役員や経営者が生まれにくい。これではダメです。役員や議員・大臣比率を決めるなど、ある一定期間のクオータ制などは、意味があると思います。
罰則がないので現状が変わらないだけでなく、現状を変えなければならないというインセンティブが企業にはないのではありませんか?
そうですね。女性を活用しなくちゃと頭で考えていても、年功序列の企業文化の中で、バブル期に採用した男性たちがこれから次々と上層部に昇進して行く予定。どこにも、新しく女性役員を採用する椅子がないのです。
それが伝統的な日本企業の姿ですね。