働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター
女性を経済に活かすための方法として、労働力として必要だというアプローチではなく、既存の経済に利益をもたらす、つまり、「女性活用したほうが、もっと儲かりますよ」と男性経済界に伝えることが重要だと私は考えています。
1990年頃、アメリカで「2000年には中小企業の経営者の半分以上は女性になっている」という予想が発表され、多くの女性団体や女性リーダーがこのデータを口にしました。すると、女性起業家のための会議のスポンサーとして全く興味を示さなかった金融機関が、次々とスポンサーになっていったのです。理由は、男女平等でも格差解消でもなく、起業家向け融資において10年後の顧客の半数以上が女性になるなら、今からその市場を押さえておこう、というビジネス視点です。
そこで私は、「国際女性ビジネス会議」を始め、働く女性たちが互いに学びネットワークすることと、経済界がその女性たちの力を経済可能性として捉える場をつくっていました。その後2000年に設立したイー・ウーマンも同じです。場所と時間を超えて、志高い女性がつながり、ビジネス界や政界がその知恵等を活用できるようにする、ということです。ザヒディさんは、来日していろいろな方にお会いになっていると思いますが、日本における男女格差解消の一番のネックになっているもの/人はなんだと考えていますか?
日本における男女格差を解消するための議論は、まず格差の存在を認めることから始める必要があると感じます。
やはり、そうですよね。それは男性だけでなく、女性の間にも言えることだと思います。
まず格差の存在を認め、それから格差の解消が企業力の向上につながるのだということを議論していくのが、一般的ですね。そして男性だけでなく、女性経営者やビジネスリーダーが参加したネットワークを構築し、そこでこの問題を徹底的に話し合い、その結果に基づき、各企業が行動を起こし、男女格差の解消をはかるという流れが必要だと思えます。2012年秋の佐々木にも参加していただいた、さまざまなリーダーミーティングは、その一つの事例です。
私には、すでに最初の段階は終了しているように思えます。みんな男女格差の問題には気がついているんです。そして今は第二段階、ビジネスリーダーを網羅したネットワークを構築している段階だと思います。そのためには、企業のトップに、男女格差の解消は女性のためでなく、社会を構成する男性と女性のために必要であることと、その理由を明確に理解してもらうことが必要です。日本においては企業のトップはまだほとんどが男性ですからね。
うすうす気づいている、または、気づかなくちゃいけない、と思っている男性の経済リーダーたちに、第二段階に移っていただくことは大賛成です。