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世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター
でもスカンジナビア諸国とは経済規模や人口が違いすぎて、評論家の中には、そのような国との比較はいかがなものか、という意見もあります。一方で男性企業トップの中には、「我々は男女差別はない。社員に平等にチャンスを与えている」と言い、その中身を良く聴いてみると、24時間365日仕事に熱中できる人には、同じチャンスを与えている、というのです。このような両方のタイプの人たちに、どう説明していったらいいのでしょう。
そうですね、3つあると思いますが、まず、男女格差調査の結果から、高収入諸国を比較対照として日本の状況を見てるのがいいでしょう。
アイスランド、ノルウェー、フィンランド、アイルランド、ニュージーランド、デンマーク、スイス等が男女格差が少ない国ランキングの上位にランクインしています。反対に、日本、アラブ首長国連邦、クウェート、韓国、カタール、サウジアラビアが下位を占めています。ランキングの中位には、その他の収入が高い国々が入っています。
つまり、国民の収入レベルが高い先進国であっても、男女格差はいまでも大きいのです。
男女格差を生む経済的理由を考えると、技術革新と知的レベルが高い国々ではますます、人的資本、女性の力が経済成長に不可欠になってきています。
国の人的資本の半分しか有効活用されていない状況では、長期的には国の経済力に大打撃を与えることになります。国の国際競争力を高めるためにも、男女格差をなくす必要があるのはこのためです。