働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター
ザヒディさんはいろんな国々で教育を受けてこられましたが、そういった体験が人間性を深めるのに役立ったと思いますか?
私は13歳でパキスタンを離れ、17歳のときにもう一度パキスタンに戻りました。英国からパキスタンに戻ったときに、ものすごいカルチャーショックを受けました。13歳の時はまだ子どもだったので、パキスタンにおける男女差別の問題には薄々気づいたものの、それを自分の問題として捉えてはいませんでした。しかし17歳でパキスタンに戻ったとき、私は若い娘として社会で見られるようになり、お見合い結婚の話が持ち込まれたり、「露出の少ない服を着なさい」とか「一人で町に出かけるのは控えるように」とか口やかましく言われるようになり、大きなカルチャ−ショックを受けました。こういったことは個人差があると思いますが、私の場合は、英国で数年暮らしてパキスタンに戻って来たので、そのときのショックは大きかったです。
とくにそうしたアジア諸国の女性にとって、可能であれば海外留学経験を持つことに、さらに意義があるということですね。
パキスタンにおいては、海外留学は、全く違った考え方にふれるチャンスですから、とても重要でした。国際化が進むなかでは、他の国の文化や考え方を知るだけでなく、自らの育った文化背景をきちんと理解するためにも、海外留学は重要だと思います。私の場合は特に、パキスタンでは女性の可能性は限られていたので、海外に留学できたことはとても大きなことです。
そうはいっても、パキスタンの今の首相は女性です。初めて女性の総理大臣が誕生したのです。彼女は高学歴で、優れた発言能力を持った女性です。政治家としての彼女についてコメントをするのは敢えて避けますが、彼女はパキスタンの女性たちの憧れです。女性でも首相になれるということを、身をもって示してくれのですから。
そういった点では、やはり日本の方が、厚いガラスの天井がある気がします。