働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3592 開催期間 2020年05月01日- 05月08日
最終的な投票結果は、Yes78%、No22%と、おおむね8割の方が賛成でした。賛成の方でも、プライバシー問題には十分な配慮が必要だという但し書きがついており、結局この問題は、プライバシーの問題をどうとらえるかという点にあることがはっきりしました。 プライバシーの漏えいは、外部(北朝鮮など)からのハッカーなどによるケースと、番号を取り扱う内部の人間の悪意やうっかりのケースの2つにわかれます。前者はともかく、後者については、「国や自治体のセキュリティ管理があまりにも杜撰」(いまいくんさん)「個人情報を誤って流してしまう自治体の話がニュースでありました」(Penguinさん)など皆さんが指摘しています。その通りですが、この問題は、例えはよくないかもしれませんが、刑罰で禁止しても強盗などの犯罪行為は防げない、というように、人間の世界で完璧に防止することは不可能でしょう(すでに情報漏えいには刑罰が科せられる旨番号法には書かれています)。 そうなると、番号導入のメリットと、公務員の数が増えない中高齢化などで社会保障の業務が急増し、このまま効率の悪い行政システムを続けていくことから生じるデメリットとの比較考量をして判断することが必要ではないかということになります。デジタル時代には、それにふさわしい行政サービスやそのための制度を作り、迅速できめ細かな社会保障を行っていく必要があります。 「(旧来のアナログなやり方は)経費と人員削減の今の時代には持続不可能」(黒船さん)という意見もありました。莫大な税金を投入し導入した番号の活用について、番号の漏えいによる被害を最小限に抑えることができれば、メリットの方が大きくなるという発想です。 「今や情報はその価値と利便性を天秤にかけて考える必要があると思っています」(marco302さん)ということではないでしょうか。 かつてオランダを訪問した際、「大学が奨学金の給付の判断をするには所得情報が必要なので、番号で所得情報を使えるようにできないか(番号の民間利用)」ということが国会で議論になっていました。このように、一つひとつみんなで議論して決めていくことが民主社会と番号の問題のあるべき姿なのでしょう。 「実際の申請画面は使い勝手が悪い」(hiro2さん)という話もありました。これも工夫次第です。今の設計はパソコンを前提にしているので、スマホ世代には使いづらいという声は前からあります。 今回の新型コロナウイルス問題で、改めてわが国のデジタル行政、それも最も重要な社会保障給付の対応の遅れという問題が明らかになりました。今こそ国や自治体は、番号を福祉をはじめとする社会保障サービスにどう活用するのか、そのメリットを国民全員で議論して、一つ一つ納得しながら番号の活用範囲を広げていくチャンスだということではないでしょうか。 今回は私も皆さんの投稿から大変学ぶことが多かったです。私は、10年ほど前からこの問題を提起し、旧民主党政権で番号制度の構築に関与してきました。これからも、東京財団政策研究所の税・社会保障ユニットで発信していきますので、ぜひご覧ください。
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