佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

151

佐藤尚之さん

コミュニケーション・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

講演依頼について問い合わせをする

自分が好きか、嫌いかって

佐々木

それはフェイスブックとかツイッターとか?

佐藤

いや、僕は講演で訓練されたんだと思います。コピーのテクニック的にもそういう部分はあるんですけど、だんだん人に話すときも”I”を言ったほうがいいんだな、と気づいていったんです。ちょっと前に鳩山さんと一緒にやっていたときも、鳩山さんと打ち合わせをするとき、「首相はこういう立場だし、忙しいだろうから、こうだろう」と先回りして考えて、首相に合わせて発言したんですね。今だったら全然違うことを言うと思うんですけど、「自分はこういう経験があって、こうだったから、鳩山さんもこうしたらいいんじゃないですか?」とか、自分のことを言えばよかったなって今は思っています。

佐々木

同感。私が、テレビなどで、コメントを求められる時も、常にそのように答えています。

佐藤

僕は、サイトでおいしい店リストみたいなのを昔やっていて、あれも昔は一般論的なところを意識して、自分の意見は言っていたけど「皆もこう思うでしょ?」的な、最大公約数を意識して書いていたんですけど、途中からやめて、指標を「ラブ」っていう「いかに主観的に自分が好きか、嫌いか」っていう風にしたんです。

佐々木

私はそれ、すごく重要だと思うんですよね。

佐藤

50歳の手前でようやく気がついたんです。

佐々木

「講演者総合養成講座」で講演者になる指導をするときも、実は、それがメインポイントです。社内の人が皆同じ話をするのがビジネスプレゼン。パワーポイントを用意して、この順番でって……。

佐藤

報告文に近い感じですね。

佐々木

でも、講演ってビジネスプレゼンとは違う。あなたにしかできないものだから、あなたからしか聞くことができないエピソードを入れようねって言うんです。今の”I statement”っていう視点もそうだし。

そして、個人の講演だけじゃないですね。今、フェイスブックだ、ツイッターだって、ソーシャルメディアがどんどん出てきて、これからは企業が丸裸になっていく時代だと思うんです。イー・ウーマンは、2000年の設立時に、「バナー広告はやりません。これからはIRとCRが一緒の時代が来ます。株主に向けて『儲かりまっせ』と言っておいて、お客さんのほうに向いて『安いでっせ』と言うのはメッセージに一貫性がない。どこからどういうメッセージを聞かれても恥ずかしくない、企業が株主や消費者と誠実にコミュニケーションをしていくことを手伝うのがイー・ウーマンの仕事です」と言ったんだけれども、誰にも分かってもらえなかった。新聞記者にも、あるいは広報担当の方とか、広告担当の企業の方にもなかなか伝わらなくて、10年たった今やっとゆっくり、そういうことを考え始めている企業に伝わり始めたかな、と思っているんだけれども、これからの企業コミュニケーションって、大きく変わってくるでしょう?

佐藤

ものすごく変わると思いますね。

佐々木

「広告」っていう立場から考えても、「広報」っていうことから考えても。


  • 8 / 31


バックナンバー

過去の一覧

ページの先頭へ