佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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荒井由希子さん

国際労働機関(ILO)ジュネーブ本部
多国籍企業局 シニア・スペシャリスト

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これは、ペルーの小学校です

荒井

これは、私の出発点となったペルーの小学校です。一昨年、ペルーに出張したときに、そのリマ郊外のスラムにある学校に行ってきたんです。で、子どもたちと色々なお話をして、自分のミッションとパッションも再確認できました。95年の開校式に参列したきりでしたから懐かしかったです。

佐々木

すごくきれいな学校ね。

荒井

きれいになったんです。これはリノベーションされたほうの部屋なんですが、開校当時とは大分色も違う。今は制服もあるし、当時小学校だったんですけど、今は中学校もあるし。

佐々木

嬉しいですね。

荒井

すごく嬉しいです。この子たちの夢を聞いたり、子供たちの質問に答えたり。出張に行って時間があると、私、必ず学校を訪れるんです。

佐々木

私もニュースステーションでさまざまな難民キャンプなどを訪問した時、すべての根源は教育だと思って、世界中に学校を作りたいって思ったんです。27歳のとき。でも、取材をするうちに、メチャクチャに壊れている学校も見たし、イスや黒板がなかったり、先生がいなかったり、というのも見た。そこではじめは学校を作ろうと思っていたけど、学校という建物を建てたら、を永遠にその学校を応援しないといけないと気付いたんです。

そこで、私のできることは2つだろうと。ひとつはプランジャパンみたいな組織をサポートして、そういうところが学校を作ったりすることを支援する、というコントリビューション。もう一つが、「国境なきシェア集団」組織をつくる。ボランティアしたい人のデータベースというか、皆に登録してもらって、たとえば来月の10日から15日の5日間、フィリピンに行くよ、と。で、費用はどこかが出すので体だけでOK、なのか、あるいは費用は1人10万円出してください、なのか、あるいは今回はジンバブエのトンゴガラ難民キャンプに行きます、とか、今日は北海道のどこどこ村の学校に行って何をします、というプログラムをやる。すると、フルタイムで働いている人が自分の仕事を辞めないで貢献できると思ったわけ。教育にもいろんな形があって、アカデミックなことを教えるというのは、もちろん、いろんな学校でやっていただくサポートをしながら、でも、人が人と出会って、「私、こういう家に住んでいるのよ。私にはこういう夢があるのよ。あなたは?」と聞いてあげるとか、向こうも、「かをり、あなたに踊りを教えてあげる。こうやって踊るの」みたいなのは、お互いにとってすごくいい関係だと思ってね。

荒井

すばらしい。今、あるんですか? 国境なきシェア集団って。メンバーに入りたい。

佐々木

これからです。この構想は97年に書籍で発表したんだけど、日本の経済社会にインパクトを与えられるときに始めようと思って。きっと、近々。

荒井

それはすばらしいアイディアだと思う。ぜひ、ジョインさせてください。本気で。やりたいです。

佐々木

特に日本があまりにも豊かで、これが普通だと思っているけど、世界に出たら、半分の人が1日1ドルとか2ドルで生活しているわけじゃない。こういったプログラムでお互いにインスパイアされることってあると思って。教えるというよりもシェアする、時間を、体験を、心を共有する。

荒井

Volontiers! 喜んで!ぜひ!!シェアするというのは、すごく共感を覚えます。フランス語のVolontiers! (ボロンティエ)は、”with pleasure, of course”みたいな意味です。英語の「ボランティア」と似た響きを持つ言葉ですが、佐々木さんのシェア集団の場合、ボランティア(volunteer)というよりボロンティエ(volontiers)の精神で集まった人々なのかな。個人としてブラジル北西部にある小さな学校を支援し続けて来ているのですが、そういった遠くからの資金援助だけでなく、休暇を使って自分の経験と時間を直接シェアしたいと思い始めていたところです。何かをgiveというよりは、シェアして一緒にやるという感覚ですよね。

佐々木

そうすると、日本から行く人にも学びが多いはず。

荒井

セルフ・リフレクションってありますよね。

佐々木

それが今の日本に欠けていると、ちょっと大げさに言えば思っていて。

荒井

ぜひ一緒にやりたいです。我々の仕事も昔、「国際援助」という言葉があって、それが今は「国際協力」に変わっているんですが、どっちの言葉も、私にはしっくりこなくて。いかに自分がその国づくりの一員、私は「一つの歯車」と言いますが、それになるか、なんです。

もちろんinternational experienceを持ってくるという意味では、外から来た人間なんですけど、その国の人たちが立ち向かう課題に取り組むチームの一員として入らせていただいて、同じ目線で考えて一緒に行動する、one of usになるわけですよね。で、シェアできるものは少しでも多くシェアする。一緒に、一員として、国づくりに関わらせていただくという感じです。そういうコンセプトは、たぶん佐々木さんの提唱なさる国境なきシェア集団と共通するところがあると思います。


下:16年ぶりにリマ郊外の小学校を訪問。子供たちと夢を語ったり。

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