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世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター
海外に進出しているグローバルな日本企業はどうなのでしょう?
日産のカルロス・ゴーンさんに、国際女性ビジネス会議で講演して頂いたことがあります。最初は30分間話してお帰りになることになっていたのですが、結局大きな会場で質疑応答もされました。すると会場に集まった女性たちが、実に流暢な英語で国際会計基準や組織論など専門的な質問を次々に投げかけてきたのです。彼は参加者のレベルの高さに驚き、「もっといてもいいか?」と私に聞いて来ました。もちろん私は「どうぞ」と答えました。そして私とランチをした後、次の女性の講演を1時間聞き、その後客席に降りて行って、大勢の参加者の女性たちと名刺交換をされていました。それから1年後に日産に、ダイバーシティ推進室が設置されたのです。
私は、本心で理解している男性ビジネスリーダーは、男女格差の迅速な解消に大きな役割を果たすことが出来ると確信しています。
カルロス・ゴーンさんは海外で様々な経験を積んで来られた方ですが、私の想像ですが、この会議に参加するまでは、日本では女性たちがまだそのレベルに達していないといった説明を多くの企業関係者から受けていたのではないかと思うのです。しかし目の前に、志高く働いている1000人近い女性たちがイキイキと学んでいる。彼は、自らがアクションを起こそし、道を作ろうと思ったに違いありません。
カルロス・ゴーンさんには、「Women Leaders and Gender Parity program(女性リーダーを増やし、男女格差をなくすためのプログラム)」にも参加していただいています。こうした変化をもたらすことができる女性の企業リーダーがいないことは、実に残念ですね。
米国のフォーチュン500企業のうちでも、女性経営者は15社だけです。
米国はお手本になりません。スカンジナビア諸国を見るのがよいでしょう。あるいは、経済成長が目覚ましい東南アジア諸国。政治と経済の世界において、女性のリーダーがたくさん現れていますよ。