佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

155

Saadia Zahidi
(サーディア・ザヒディ)
さん

世界経済フォーラム 男女格差・人材部門、シニア・ディレクター


女性は購買層の重要な一部になっている

ザヒディ

3つ目は、多くの先進国では、女性の可処分所得が大きく増加しているだけでなく、購買層の大きな一部になっていることがあげられます。企業の商品を買っているのは、こうした女性層で、もはや財力を持った男性だけに限られないからです。女性は購買層の重要な一部になっているので、購買層をきちんと理解するためには、経営陣に女性を組み込むことが必要になってきました。

佐々木

すでに80年代で、米国で車の購入の半数以上が女性で会ったというデータもありました。購入の意思決定でなく、実際の購入が、です。女性による購買決定や購買力はとても大きな力ですね。

ザヒディ

はい。そのために、これまでの「女性にも平等のチャンスと機会を与えよう」というイデオロギー的改革から、様々なメリットの研究に基づいた「企業や組織の経営に女性を増やすことが必要だ」という考え方に変わってきました。

しかし、それを実現するためには組織や制度の変更が必要です。「24時間働けますか?」と聞かれても、家庭で子育てや年老いた親たちの基礎的な介護を担当するのが女性である限り、女性が24時間、企業のために働くことはできません。

つまり、企業が女性消費者の心理を正確に理解し、女性の購買層をつかむために、女性社員を増やし、組織内における多様性を増やすことで企業利益を高めようとする場合には、女性が働きやすい環境を作る必要が絶対に生じてきます。

佐々木

今日はいろいろな男女格差について伺ってきましたが、多様性には男女格差だけでなく、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)や年齢格差、地域格差等も含まれますね。

ザヒディ氏

その通りです。ただ私たち世界経済フォーラムの主な活動は男女格差の解消です。もちろん人種の多様性はとても重要です。男女格差をなくすだけでなく、組織内で人種の多様性が確保できれば、より広い視野から企業は様々な決定を下せるようになります。対象である消費者をより深く理解した上での決定が下せるわけです。

企業内における男女格差の解消法は、人種の多様性を増やすために「応用」できるだけでなく、世界の人口の半分が女性である事実からも重要なのです。女性はマイノリティではありません。世界の人口の半分を占めているのですから。


  • 9 / 15


バックナンバー

過去の一覧

ページの先頭へ