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(林文子 / 江田麻季子 / 関京子 / 江端貴子 / 伊藤麻美※)※ファシリテーターピアのリポートを読む
男女雇用機会均等法の施行から24年。当時の新入社員が、多くの企業で女性管理職、女性リーダーとして活躍する時代となったことを裏付けるかのように、この分科会には400近い席を用意した座席がすべて埋まるほど大勢の参加者が詰めかけました。「女性リーダーが周囲を動かすには日ごろから何を大切にするべきか」、「次世代の女性リーダーを育てるために必要なことは何か」など、女性リーダーのあり方や、女性リーダーの“今とこれから”について具体的に話し合う場となりました。
横浜市長の林文子さんは、まず初めに、ビジネスには「共感」と「信頼」が必要不可欠であるという考えを、これまでのご経験から述べられました。「女性は『共感』を得意とする脳構造があり、それはとても人間らしいことである」という話の後は、分科会全体を通して「共感」がキーワードとなりました。
林さんは、行政が持つ可能性についても共有されましたが、衆議院議員の江端貴子さんも、同じく行政の立場から、現状の取り組みや将来的な可能性を、自らのご経験に照らし合わせながら語りました。ご両親の介護という現実的な問題に立ち向かったときに感じたさまざまな社会問題を、より良い方向へ改善すべく、日々尽力している姿が伝わってきました。「信頼を得るまでは、コンプリートワークに努める」という回答には、江端さんだからこその説得力があり、気づきを与えられた参加者もいたのではないでしょうか。
会場の参加者からは、自らの抱える問題や悩み、疑問などが次々に投げかけられ、問題に合わせて回答を促すファシリテーターの伊藤麻美さん。亡くなったお父様の遺したメッキ会社代表を引き受けた際、周りにいた社員のほとんどは「年上の男性社員」だった、という経験から「共感」してもらうために実践したポイントなどを語りました。
着実なキャリアアップを重ねてきたメルクセローノの関京子さんには、人事やキャリアプランにまつわる質問が集まりました。社員一人ひとりが、それぞれのライフステージに合わせた働き方ができるべきであり、組織はそれを理解し、できる限りその環境を提供することが望ましい、と経験を踏まえて回答しました。どの問題も、ひとりだけで解決することは難しく、家族、パートナー、職場など周囲の理解と協力を得るために、自分自身も弱みも見せ「助けが必要である姿勢」を見せることも大切、と語ります。
国際的な視点から、グローバル企業での女性リーダーのあり方を述べたインテルの江田麻季子さん。ハラスメントで悩んでいる参加者からの質問には、以前起きた問題に対し、会社がどの様に取り組み、以後、万が一同じ様なことが起きた場合に備えた対応を、どういった社内システムに落とし込んでいるのか、過去の事例を出して紹介しました。
また、江田さんは「働き方そのもののダイバーシティ化」に取り組んでいることにも言及、これが他の講師も、それぞれの考えを共有し合うきっかけとなりました。女性リーダーのパイオニアとも言える林さんの言葉には、会場からも共感のうなずきが多く見かけられました。行政の取り組みにも、将来的に大きな希望が感じられたと思います。
終始、会場全体が参加者の熱意と、また同時に大変温かい雰囲気に包まれました。講師のおひとりが表現された通り「大勢なのにまるでパーソナルに会話している様な感覚」でいられたのは、会場にいた全員の「共感」があったからこそ。みんなの気持ちをひとつにする、大変前向きな90分でした。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。
冒頭の林さんの言葉が衝撃的でした。「ビジネスは、信頼と共感がなければ動かない」。社会人になって10年。当初は、常に緊張し、毎日オーディションを受けているような気持ちでいましたが、最近になってようやく「仕事は、減点法で試されるのではなくて、加点法で、皆の良い所を合わせるものなのでは?」と見えてきたところ。分科会講師の先生方から力強い後押しを頂いたように思いました。まずは、オープンマインドで、誰とでも何気ない雑談を楽しめる人間になる。そこから始めたいと思います。
リーダーに成ろうと思ってなったのではなく成るべくしてなった、そんな方たちでした。肝に銘じなければと思った言葉は「対立ではなく、共感と信頼がなければ人は動かない」ということ。私は自分の存在やスキルを認めてもらいたい頼りにされたい、そういう思いから自分をアピールすることに必死でした。でもそれでは人は寄ってはこない。人に対する温かな目線と受容力、懐の深さがあってこそ、人は引き寄せられると実感しました。熱いなかにも大らかな、まさに「素顔」を感じたセッションでした。
印象に残ったことは、林さんや江端さんが共通して言われていた「計画していたのではなく目の前の仕事を一生懸命やり、人との関係を大事にした結果だった」という事です。頑張った結果評価してくれる人がいて、次のステップへ引き上げられていくというのが、私にはすごく自然に感じられました。今後に活かしたいことは、「My Brandを持つ」という事です。誰かと比べることなく、自分のロールモデルは自分で創っていく……自分らしさを失わず、軸をブラさず、実行していきたいと思います。
ストレスで鬱になりかけていた管理職1年目。この会議で林さんに「頑張りすぎなのよ。頑張らなくて良いのよ」と声をかけていただきました。あの一言で救われ3年間続けてこれました。今年、「上司だと完璧でいたいと思うがそれは必要ない。競争社会なので強がってしまう人が多いが、本来会社は温かいもの。温かさで人をつなぐのが管理職の役割」という林さんの言葉に気付かされました。また頑張りすぎている。完璧でなくて良いんだ。もっと仕事を楽しんで人と人をつなぐ役割を果たしていこう。
どの登壇者のご発言もご自身が経験されたことから発せられるので、ストレートに心に響きました。林さんの「自分の弱みを見せてこそ部下がついてくる」と言うのに驚きました。これまではリーダー=強いというイメージがありました。弱みを見せることで部下もリーダーを助けていかないと!と思えるのではないかと感じました。私は職場でリーダーの立場にはありませんが職能団体の中で若手のリーダーとしての働きを求められています。現場に出て信頼感を持たれるリーダーになりたいと考えます。
この分科会で最も印象に残ったのは林氏の「確実に女性たちが進歩している」という言葉でした。私が国際女性ビジネス会議に参加するようになって6年。毎年「こんな素晴らしい女性リーダーが居た!」と驚き、発見や気付きがありました。それを発信側の林氏も感じていたことを知って、発信側も受信側も双方向に成長を続けているのだと感動しました。また1年、目の前の事を一生懸命に、前向きに自分を進化させたいと思いました。
私にとって何より印象的だったのは、スピーカーの5名ともとてもりんとしていて、笑顔でキラキラしているというところ。会場の雰囲気は他のセミナーのそれとは大きく違う。彼女たちが、過去男性中心社会で味わった嫌な思い出も、あっけらかん話す姿はとてもすがすがしく、現在その道を通過する後輩として受講者たちは目を輝かせて聞いていた。