働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
(アキレス美知子 / 横山美弥子 / 松田聡子 / 林啓志 / 後藤直子※)※ファシリテーターピアのリポートを読む
働く女性も世の中に増えてきた今、働き手のキャリア意識は多様化しています。分科会「伸びるワーキングウーマンの育て方」では、働く女性のパイオニアでもある、あおぞら銀行常務執行役員人事担当のアキレス美和子さん、伊藤忠商事でダイバーシティ推進を担当している林啓志さん、パナソニックの組織風土改革の一環として女性活躍を推進してきた、松田聡子さん、そして、年間50社以上の企業人事研修の実績のある横山美弥子さんを講師に迎え、ファシリテーターはイー・ウーマン後藤直子が担当しました。
参加者は職場で「育てる」立場の人8割、「育つ」立場の人が2割といった比率で、また、現役の女子大生の参加もありました。
松田さんは、雇用機会均等法施行後から、積極的に女性活躍に取り組んできているパナソニックでの取り組みを紹介。雇用機会均等法施行後の歴史に沿って女性活用のテーマも変遷していることが浮かび上がりました。さらに「女性活躍を加速させるために大切なことは何か?」との会場からの質問に対し、女性のライフイベントが障壁とならない制度づくりだけでなく、その浸透プロセスにおける経営トップのコミットメントが最重要であると述べました。また育成においては世代間のギャップや意識の差を理解し、いかにお互い歩み寄れるかが大事というお話に、会場も納得。
男性・管理職の立場から、ダイバーシティ推進に取り組まれている林さんは、従来の「男社会」で共有されてきた「気合と根性」、「あうんの呼吸」の組織風土や働き方を変革する時期が来ていると語りました。また、グローバル環境下、性別だけでなく外国人も含めて育てていく組織風土や育成モデルが必要だと指摘しました。「若手の育成に関しては、女性だけでなく男性社員にも同じ課題がある」と興味深いコメントも。会社側へのリクエストは社員個人が発信する姿勢を持つことの重要性にも触れました。
ファシリテーターの後藤が、これからの企業の人材育成は性別だけでなく、国籍・人種・宗教などを超えた視点での試行錯誤が必要になってきたと話したところで、後半は、私たち“個人がどのようにキャリアを築いていくべきか?”をテーマに、講師に投げかけをしました。
さまざまな企業で活躍し、キャリアを広げて来たアキレスさんは、女性社員へのキャリア開発の問いとして、まず「本当にやりたいことは何か?」「大変なことをなぜ避けるのか?」「なぜ男性と比べるのか?」の3つを投げかけるといいます。また部下育成にあたっては、各個人のキャラクターによって異なるモチベーションや悩みの違いを理解して、育成指導していくことが大切とアドバイス。さらにキャリアを作っていく幅は男性より女性の方が広い、と女性たちへの応援メッセージも。
数多くの企業で育成研修を担当してきた横山さん。男女問わず、今の若手社員の課題として、「巻き込み力」と「巻き込まれ力」の弱さを指摘します。また個人のキャリア開発のポイントとして、「賞味期限の長いスキルや知識」と「賞味期限の短いスキルや知識」という興味深いコンセプトから、組織はこれらを社員がバランスよく身につけられるように仕組化することが大切であることを事例とともに紹介しました。
講師への質問も相次ぎ、90分はすぐに経過してしまいました。最後に、伸びるワーキングウーマンを育てるために必要な、組織の役割と個人の責任についてまとめを行い、終了。会の熱気は冷めやらず、そのままネットワーキングパーティーへ場所を移して、話を続ける講師・参加者のグループもあったほど密度濃い議論となりました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。
管理職になり、一番の課題だと感じるのが部下の育成でした。講師の横山さん曰く、人材開発が上手な会社や人には共通点があり、それは「賞味期限の長い知識」と「賞味期限の短い知識」を使い分けているということ。前者はコミュニケーションスキルやビジネススキル、後者は専門スキルで、両方のバランスが重要だそう。専門スキルは進化し続けるためブラッシュアップが必要だが、コミュニケーションスキルやビジネススキルは一生もの。バランスを考えながら部下のサポートをしていこうと思います。