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あえて英語でスピーチされた石黒さんに続いては、生まれて初めて日本語でスピーチするという荒井由希子さんが登壇。
一個人として、一国連人として、何かみなさんにシェアできるものがあればと、この会議のためにスイスから飛んできてくださった荒井由希子さんは、国際労働機関(ILO)ジュネーブ本部 多国籍企業局のシニア・スペシャリスト。「すべての子どもが学校に行ける社会の構築」をご自身のミッションとして、学生時代からずっと突き進んで来られたそうです。
グローバル化の社会的側面である「児童労働」をテーマに、南アメリカ、アジア、アフリカなどさまざまな途上国に足を運び、マイナス40度の金山や炎天下の塩田、麻薬取引をする子どもが居るスラムなど、過酷な環境にも積極的に身を置いてきたというお話。さらに、チョコレートの原料カカオの生産に携わる子どもたち、小さな子どもが素手で危険な作業をする様子をはじめ児童労働の悲惨な実情を伝える写真の数々。会場の参加者の多くが目を見張るようにしてプレゼンテーションに引き込まれます。
「壁にぶつかるといつもアングルを変えて考え、チャレンジして来た」という荒井さんが最近関わった仕事は、10年以上にわたる紛争が終結したばかりの西アフリカ、リベリア、シェラレオネ、ギニア、コートジボアールに進出する多国籍企業の調査。そこでは、「調査ではあるが、今後も他国に通用するようなメカニズムを構築したい」と考えて、合計100社にも及ぶ多国籍企業を訪問し、CSRという観点からそれを説得。その成果として多国籍企業や政府、国際機関、NGOなどがボーダーを越えて同じテーブルにつき、課題を共有することで持続可能なメカニズムが構築されたと言います。
こうした仕事を通じて、「1000人居れば1000のアイデアがある。大小さまざまな歯車が上手くかみ合い、回ることによって、大きな原動力となって成し遂げられる」と確信された荒井さん。「みなさんのスキルや経験が活かされるポイントは必ずある。重要なのはベストなポイントに自分を置くこと。そうすれば社会に貢献できる」との言葉を、多くの参加者が噛みしめ、深く頷いていました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。