第16回国際女性ビジネス会議リポート

講演リポート

「壁をこえるソーシャルネットワークの力」

佐藤 尚之 さん

コミュニケーション・ディレクター / クリエイティブ・ディレクター

最後の講演は、コミュニケーション・ディレクターの「さとなお」こと佐藤尚之さんがスピーカーです。「女性が多いカンファレンスということで、奥さんに服装をチェックされてきました」と佐藤さん。夏らしく爽やかな白いシャツがお似合いです。

「ソーシャルメディアについての話は、まずここから始めさせていただきます」
その言葉と同時にスクリーンに映し出された文字は、『ジョン・レノンの歌の中で、イマジンが一番嫌いだ。こうなればいいと思っているだけではダメだ』
U2のボーカリスト、ボノが10年以上前に語ったというこの言葉に、佐藤さんは深く共感したといいます。

佐藤尚之さん

「歌によって美しいコンセプトは共有された。しかし我々は歌うだけで満足していたのではないか。そう感じました」
話題は無名の若者たちが関与した1月のエジプト革命、そして3月の東日本大震災へ。
「どちらも、フェイスブックやツイッターで奇跡的なことが山ほど起こりました。僕は、見ているだけで涙が出るくらいでした。歌うだけじゃない、ようやくアクションができる。そして、その志がつながると」

佐藤さんご自身も、官から民へ情報を提供する復興支援サイト「助けあいジャパン」の立ち上げを政府に自主提案するなど、アクションを起こしました。約200人の有志によって佐藤さんの志は大きなうねりとなり、今もその動きは続いています。

とはいえ、日本でのソーシャルメディアの普及率はまだまだ高いとはいえません。佐藤さんはその可能性をよりわかりやすく示すために、時代における情報伝達の変化を語ります。スクリーンには、人と人との相関図「ソーシャルグラフ」が映し出されました。お茶の間で全世代がテレビを見ていた昭和、やがてコミュニティがバラバラになり、現代にいたるまで、情報の伝わり方にもマーケティングのアプローチにも大きな変化があったことがわかります。そして、共有力と拡散力のあるソーシャルメディアの登場。

関与する生活者同士がつながり、志を同じくした人々がいろいろな場所から参加して、変革に関われるようになった。国境、組織、世代、すべてを超えたソーシャルメディアは、「最強の壁こえ装置」と佐藤さんは語ります。会場の空気はさらに熱く、皆さん引き込まれるように聞き入っています。いよいよエピローグです。

「一番初めに、僕は言いました。こうなればいいと思っているだけじゃダメだと。アクションしようと。ボーダーを超えようよって歌うんじゃなくて、動く。今日から動くくらいの気持ちが必要なんじゃないかと思います」
最後までインパクトあふれる、熱いプレゼンテーション。佐藤さんの言葉が終わると同時に、会場からはあふれんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。

 

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。


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