第16回国際女性ビジネス会議リポート

分科会リポート 03

キャリアを伸ばす、大切なポイント

石倉 洋子 さん

慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科教授

金子 久子 さん

アクサ生命保険株式会社 人事 能力開発部部長 チーフダイバーシティオフィサー

ロー・ジョアン さん

メルクセローノ株式会社 クリニカルディベロップメント メディカル・リーダー

鎌田 由美子 さん (ファシリテーター)

東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 地域活性化部門 部長

会場には、すでに100名を超える参加者の皆さんが集まっています。20代、30代を中心にディスカッションを展開する分科会「キャリアを伸ばす、大切なポイント」は、始まる前から大きな期待と熱気にあふれていました。

鎌田 由美子さん

「皆さん、こんにちは!」
空気がパッと華やかになるような、明るくクリアな声で最初のご挨拶をされたのは、東日本旅客鉄道で「エキュート」を成功させた鎌田由美子さん。本日のファシリテーターです。
講師は、鎌田さんを含む4名の女性。アクサ生命保険で人事、能力開発、ダイバーシティに取り組んでいる金子久子さん、メルクセローノで医師という立場から新薬の開発や安全性の向上を担当しているロー・ジョアンさん、そして午前の部のスペシャルトークで会場を大いに沸かしてくださった、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の石倉洋子さんです。

金子 久子さん

鎌田さんから講師陣への最初の問いは、「皆さん、どんな20代を過ごしましたか?」
まずは金子さんが「そんなに昔ということではないんですが……」と切り出し、会場全体が楽しげな笑い声に包み込まれます。しかし、続けて語られたのは、実に過酷な現実。男女雇用機会均等法施行前だった当時に経験した女性差別、その後は結婚、出産によりキャリアを断念。40代で社会復帰するまでの厳しい道のりを、明るく軽快な口調で語る金子さんを、皆さんが真剣な表情で見つめ、話に聞き入っています。

ロー・ジョアンさん

香港出身のジョアンさんは、オクスフォード大学に留学した後に小児科医として病院に勤務。しかし「言われたことをやるだけでは私らしくない」と葛藤の末、日本で臨床研究を始めるまでの経緯を語りました。

石倉さんは、20代で初めて留学を経験。当時の「自分で何とかするしかない」日々が、その後の大きな自信につながったと言います。

石倉 洋子さん

鎌田さんご自身は、入社当時、会社における女性比率が実に1%だったという環境で、いかに自分らしさをアピールし、周囲とつながってきたかをお話してくださいました。
続いて金子さんから、「逆に会場の皆さんに聞いてみたいことがあります」と提案が。「なぜこの分科会を選んでくれたのか?」という問いに、皆さんから「先輩女性たちの話を参考にしたかった」など、前向きな意見が飛び交います。

30分ほど進行したところで、参加者の皆さんからの質問を募ることに。「年下の男性上司に対し、何をどう努力しても報われない」という悩みを持つ女性に対しては、金子さんから「おめでとうございます! 人は困難があるときに、一番成長します」と力強い回答が。その後の温かなアドバイスに、感動して涙を浮かべる参加者の姿も見られました。

さらに、「昇格試験を機に、自身の目指すべき方向、本当にやりたいことについて思い悩んでいる」という方に対しては、ジョアンさんから「キャリアウーマンの定義」について改めて考えさせられるアドバイスがあり、新たな気づきを与えてくれました。

その他、「上手にNOを伝えるポイントは?」「転職ではなく、今の組織の中で新しい企画を提案し、成功させる方法は?」「女性でよかったと思う瞬間は?」などの質問が続き、講師たちがそれぞれの体験を交えながら、具体的にコメントしていきます。

そして最後に一言ずつ、会場にいる皆さんへメッセージが贈られました。
「与えられるのを待つのではなく、自分からアクションを起こす(金子さん)」「何よりも、『自分』に対して枠をつくらないこと(ジョアンさん)」「あまり真面目に考えすぎない。ときには『まあいいや』も大事(石倉さん)」。鎌田さんの「我々もいろいろな悩みを持ちながら進んでいます。悩んでいるのは、あなた1人じゃない」という言葉で、分科会は幕を下ろしました。

清々しさに満ちた、皆さんの表情。同じように悩みながら、前へ踏み出そうとする仲間たちがいる。ボーダーを超えたその共感が、前向きなエネルギーになることを実感できたひとときでした。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

 

 


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