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分科会「ソーシャルネットワークの可能性」に登壇されたのは、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科准教授のジョン・キムさん。そして、午前の講演で力強いプレゼンテーションを展開してくださったコミュニケーション・ディレクター、佐藤尚之さんです。
「ここではアットホームに進めさせていただきます」という佐藤さんの言葉からスタート。先ほどまでステージにいた方が、今は目の前に。講師の存在がグンと身近に感じられるのも、分科会の大きな魅力のひとつです。
まずはキムさんの自己紹介から。
「ひとことで言うと、ボーダーを超えてきた男じゃなくて、ボーダーを転々としてきた男です」
キムさんが笑顔で語り出すと、会場は一気に和やかな雰囲気になりました。韓国出身のキムさんは、高校を卒業されてから日本に国費留学、その後はアメリカ、ヨーロッパ、ドイツの大学で研究員を務めるなど、まさにボーダーを何度も軽やかに超えてきた多彩な活躍ぶり。執筆されている書籍のテーマに話題が移ると、監視社会の変化から、日本のプロデュース能力、恋愛に至るまで、その幅広さには驚かされます。
「居心地のよさは敵。1回しかない人生だから、できるだけ住む国を変えたり、研究テーマを変えたりしています。唯一変えていないのは奥さんです」という言葉に、会場は温かな笑い声に包まれました。
お二人のセッションでは、ソーシャルメディアが果たしている役割について、チュニジアやエジプトでの政権交代、東日本大震災などを例に挙げて話が進んでいきます。具体的なデータが豊富に紹介され、皆さんが熱心にメモを取っています。
日常生活や人間同士の接点を可視化するソーシャルネットワークが、個人だけでなく行政やジャーナリズムにも巻き起こしている大きな変化。拡大し続ける影響力を有効に使いこなすには? 壮大なテーマでありながら、具体的で実践にもつながる議論が、印象的なキーワードとともに展開されていきました。
「ではそろそろ、皆さんとディスカッションしましょうか。恋愛の話でもいいですよね」と佐藤さん。キムさんも笑いながらうなずきます。質問がある方を募ると、20人ほどの方が一斉に挙手されました。
「自社のコミュニティサイトでソーシャルメディアを導入した際に、マーケティングの観点からどのような役割を果たせるのか?」「ソーシャルネットワークのリテラシーが低い人との関わり方は? その格差を乗り越える力は、今の社会環境にあるのか?」
キムさんは「私は学者なので分類学的に…」、そして佐藤さんは「では僕はもっと実践的な観点から」。それぞれの見解で、質問に答えていきます。
そして、あっという間に終了の時間が。しかし、会場では皆さんの手が次々と挙がり、議論も白熱しています。「ちょっと伸びてもいいですか? 3分くらい」と、スタッフに確認するキムさん。時間が延長され、さらにディスカッションが繰り広げられます。
「ブログ、ツイッター、フェイスブック、時間がいくらあっても足りない! お二人の時間配分は?」「フェイスブックの友達リクエスト承認。どれくらいの基準でネットワークをつくっていくのが妥当?」「お二人の話には、とてもキャッチーな言葉の力がある。言葉を使うときに心がけていることは?」
最後の質問に答えたお二人に、皆さんから拍手が起こります。まだまだ熱い空気のまま、終了時刻を迎えた会場では、参加された方同士で声をかけ合い、ネットワーキングする姿も。躍動感に満ちた時間を共有し、高密度な分科会となりました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。
昨年のツイッター分科会に引き続き、この分科会に参加しました。すでにツイッターやフェイスブックは利用していますが、「どうしたら効果的にビジネスにつながるか?」と思いあぐね、行き着くところは結局CRMなのか、などと考えていましたが、「そんな利用目的はちっちゃすぎ!」とのさとなおさんの一喝に反省しきり。せっかく"つながる"ツールだからこその、既存のメディアともつながる使い方をすると効果的、という言葉を胸に、仕事でもプライベートでも、ソーシャルを楽しんで使いこなしたいと思います。すでに今回の会議で出会った方々とも、つながって情報交換させていただいています!
(大石明子さん)
お二人から共通に語られたのは「成功体験・既得権益を捨てる」ということ。成功体験が成長の必須項目だと信じてきた私にとっては衝撃的な言葉でした。ジョン・キムさんから「居心地の良さは敵」、さとなおさんから「これからはのマーケティングはSIPS分析・発信元への共感がキーワードになる」など、新たな発想への気づきがありました。今やソーシャルネットワークを通じてボーダーを超えることができる時代、この講演を機会に、従来の考えに固執せず、変化をおそれることなく、自分自身が信じることを行動していく、それが自身の可能性であり成長となるのだと感じました。
(ANJさん)
「ソーシャルネットワークとは日常や関係、接点の可視化である」ことをキム先生が発言されました。また、佐藤さんからは「当事者意識を持つ」ということを教わりました。職場で新しいプロジェクトに関わっていますが、今一つ、外野の人になっている自分がありました。今回、分科会に出席して佐藤さんのお話から当事者になって考えることの重要性を再認識しました。当事者意識を持つことで本当に必要なこと、何が求められるのかを考えることが出来ると思います。今後の仕事、自分が所属する職能団体での活動で学んだことを生かしたいと考えています。
(りえをさん)